5-2 1999年米国籍商船活性化法案とロット-ブロー法案
1999年米国籍商船活性化法案
1999年6月、ジム・マクレアリー下院議員により1999年米国籍商船活性化法案(United States Flag Merchant Marine Revitalization Act of 1999: H.R.2159)が提出された。マクレアリー議員は下院歳入委員会委員の立場から、海運界に課せられる税を軽くすることで同業界の活性化を図っている。
H.R.2159の眼目は1970年商船法に盛り込まれた資本建造基金(Capital Construction Fund: CCF)を修正し、同時に関連する1986年国税規則(Internal Revenue Code: IRC)改正するものである。
米国商船隊が外国との競争、高い運航費、船員確保難、船隊拡充資金不足等で伸び悩みであったのは建国以来続いていた現象といっても過言ではないが、1936年商船法で近代的商船隊拡充を目指す船主に対し、種々の国家助成を与えて抜本的に援助することとなった。
1936年商船法は少なくとも国家非常時に外国の船に頼らずに物資を輸送できることを目標としたものである。1936年商船法は1970年税免除条項を加えて修正されたが、本修正は船主に多大の運用上の利得を与えるものであった。この税免除条項の一環として導入されたのがCCFである。
CCFでは適格船(Eligible Vessel)と資格船(Qualified Vessel)が定義され、両船を合わせて契約船(Agreement Vessel)と呼んでいる。ある船についてMarAdとの間でCCF契約がとり交わされると、その船のオペレーションによって得られる利益にかかる税は無期限に免除される。
1970年のCCFの対象船は米国造船所で新造或いは改造される米国籍船で従事する航路が外国航路、五大湖及び非隣接国内航路の船舶となっている。またCCF契約を結べるのは適格船を所有し、或いはチャーターする米国市民のみと規定されている。
MarAdとの間でCCF契約が結ばれると、その適格船から得られる収入に対する税は免除されるが、その条件としてその適格船の収入は適格船の新造或いは改造に使用するためにCCF基金に預入されなければならない。また上記により取得された適格船からの収入も、CCF基金に預金されるならば税が免除される。
ここで注意しなければいけないのは適格船として定義される航路要件が米国の国際及び国内商業航路、漁業貿易であり資格船として定義される航路要件が国際航路、五大湖及び非隣接国内商業航路、漁業貿易である点である。