海運改革法の下でも貨物の量を集めることが好いレートとサービスを受けられるキーポイントとなる。
海運業は同盟を脱し、他の産業では当たり前のことが始めて取込まれたのである。量を集めるには荷主が合体することが必要である。1999年5月以前に存在していた荷主連合は海運改革法にうまく対応することができたが、同法施行後に急遽結成を企てた荷主連合は必ずしもうまくいっていない。
海運界は規則、運用、経済環境の違いを盾にお互いの壁を作ってきた小規模の荷主が多く、低レートと好サービスを得る目的で提携を進めても、なかなか協力を得にくい体質を持っている。似たような経済環境を持つ荷主は海運改革法以前に合体しているが、同法施行後の小荷主の提携は非常に遅れている状況である。
海運改革法以前にもワインや酒類輸入業者や食料品の輸入業者が集まって荷主連合を結成し、キャリアとの間で低レートと好サービスの交渉にあたってきた。荷主連合には輸入業者だけのもの、輸出業者だけのもの、或いは輸出入業者の交じったものがあるが多くは中小業者の集まりであった。
海運改革法は荷主或いは荷主連合がVOCとレート及びサービスの交渉をすることを許しているが、貨物を集めてきたのは荷主や荷主連合のみでなく、インターモーダル時代の現在、NVOが集貨のために果たしている役割は大きい。海運改革法ではNVOにレートとサービスの契約権を認めていないが、本条項は1970年NVOが労働組合に加入していない労働者を使って荷役作業を行って以来不仲となっていた港湾労働者組合を喜ばせるために挿入したと言われる。
VOCはいつも荷主との直接契約を望んでおり、ブローカーが中に入ることを喜ばなかったが、NVOの場合は貨物を集めるという点では荷主と同じ役割を果たしているので海運改革法に対する不満も理解できる。
海運改革法が発効したことでフォワーダーやブローカーは荷主とVOCが定めたレートを教えてもらえないという事態に陥っている。海運改革法施行以前はレート基準で彼等のコミッションが定められていた。
彼等は海運改革法が施行されて税関や国勢調査への申告が複雑になって困惑している。
海運改革法の影響をほとんど受けていないのは港湾当局くらいのものである。