日本財団 図書館


5 米国商船隊強化のための諸立法

 

5-1 1998年海運改革法

1999年5月1日に発効した1998年海運改革法は旧態依然たる海運業界再生の切り札として期待されている。本法案の推進者の一人であるジョン・マッケイン上院議員は米国の経済が市場ベースの成長を今後も続けていくために、米国の外航海運業に競争原理を導入することの必要性を強調している。マッケイン上院議員は1997年に自らが委員長を務める上院通商科学運輸委員会に提出した報告書の中でライナーの慢性的船腹過剰を自国籍船優先主義と国家安全保障の名の下のコンテナ船の作り過ぎが原因だと指摘している。

この船腹過剰の結果、運賃率値下げ競争が激化しないように、ライナー会社は海運同盟を結成し、同盟内各社の競争を制限または排除し、航海計画、運賃率、積み荷等を調整かつ合理化しようとしたが、事態は海運同盟があまり効果を現さない方向に向かっていた。

 

海運改革法は米国の輸出入業者、つまり荷主が自分の好むキャリアと個々のサービス契約を結ぶことを許し、契約したレート、サービスの内容、タリフを公表する必要のないことを規定し、さらに自動タリフ算定システム、その他のシステムを誰にでも使えるようにする等の内容を含んでいる。

今迄の海運同盟に基く共通の輸送契約から「個々の契約」への適応は容易ではない。海運改革法が発効してから1年が経過したが海運関係者はその立場から海運改革法に慣れるのに懸命の1年であり、とても海運改革法が順調に働いているとは言えなかった。

 

海運改革法施行以前は、サービス契約の骨子は連邦海事委員会(Federal Maritime Commission: FMC)に届け出て、かつ公表することを義務づけられていたため、条件の似た荷主は同一のレートとサービスを要求することができた。海運改革法は荷主とキャリアが交渉し、各航路にあった真に創造的なサービスの質とレートを設定することを求めているが、現在のところ創造性という点ではあまり進歩は見られず、今後の期待に負うところが大きい。

従来貨物のボリュームと価値から単純に定めていたレート設定に多くの複雑な要素が加えられるようになった。海運改革法での問題点の一つは情報の秘密を認めているので、これから出てくる情報は信用が置けないものが多くなり、海運界の実情が掴みにくくなっていることである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION