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シーリフト船について海軍が考えている最もユニークな案は、国防仕様プログラム(National Defense Feature Program: NDF)である。NDFは国防シーリフト基金の一環をなすものでシーリフト艦と商船の両用に設計された船の建造を促す制度である。

NDFで建造される船舶の軍事的性格の部分については国防総省が全て費用を支出するが、NDFの適用を受けて建造された船は国防総省の要請にしたがって軍需物資の輸送に従事しなければならない。

国防総省は現在多くのシーリフト艦を新造したり、商船を買い上げてシーリフト艦に改造し国家の非常時に備えて係留しておくという不経済な調達方法を実施しているがNDFは非常に経済的であり無駄なく米国商船隊の強化に繋がるものであると国防総省では太鼓判を押している。

1999年議会は国防予算権限法の中でNDFを拡大し、海軍に一時の前払い金を支払う権限を与えた。この前払い金の中には国防に関連する部分の建造費のみならず民間商船としての部分の設計費、船の一生のオペレーションの一部を含んでもよいことになっている。

 

少ない予算で多くの隻数の艦艇を建造する件については、海軍は二つの方向から具体化を進めている。一つは艦艇の設計そのものをコスト削減を可能にする方向に持っていく作業であり、他は調達方式を変える方向である。米海軍が未来艦の推進システムとして艦艇運用の経済性を狙い現在研究中のプロジェクトは統合動力システム(Integrated Power System: IPS)である。

IPSはGEのガスタービンLM2500を発電機として用い、その電力で推進を始めとする艦内全てのシステムを作動させる全電動システムである。

手始めに2004会計年度から発注される沿岸駆逐艦DD-21に採用される予定であるが、その後全ての新造艦を順次IPSとし、全電動艦隊(All Electric Navy)化する予定である。

IPSの狙いは推進、武器システム等全ての艦上システムの操作とメインテナンスの容易化、それに伴う乗組員の削減、民間船との部品の互換性の向上、機械容積の減少に伴う武器容積の増加、全艦艇に共通システム採用することによる海軍全体の費用節約等である。

 

 

 

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