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世界人口の80%及び主要首都は大洋岸から500マイル以内に存在する。つまりこれからの紛争のほとんどは沿岸から500マイル以内で起り、紛争処理のため海軍の持つ柔軟性、即応力が重要であることは1990年代に起きた諸紛争の処理で証明済みである。

紛争処理のために必要な海軍力は沿岸で活動できること、高度の移動性、自己充足性を求められ、空母戦闘群、海兵隊遠征群、沿岸作戦展開群が必要となる。現在海軍と海兵隊は沿岸に展開された支援艦艇から内陸200マイル程度まで制圧可能な海兵隊のあり方について共同研究を進めている(DN 1/10/00)。

米海軍の今後を示すキーワードは沿岸海軍(Littoral Navy)であるが沿岸海軍の考え方は1993年頃から話題となり研究が進められ、現在すでに対陸攻撃駆逐艦(Land-Attack Destroyer)の名で呼ばれ、従来の砲より驚異的に命中精度の高いGPS制御砲装備の沿岸海軍駆逐艦DD-21の設計が開始されている。

 

今後の世界情勢が混沌としているために米海軍がどのような質の艦艇を何隻維持すべきかについて意見は様々である。1980年代のレーガン時代は強いアメリカを標榜し、原子力空母、ミサイル駆逐艦、ミサイル潜水艦を中心とする海軍600隻体制が推進されたが、いつのまにか特別な理論的根拠もないまま海軍300隻体制が絶対必要最小隻数と言われてきた。

300隻体制維持のためには年間10隻程度の艦艇発注量が必要であるが、このところ年間発注量は5-6隻に過ぎず、300隻体制の維持すら不可能な状況となっている。

 

通常議会が海軍艦艇建造隻数の必要量といったレベルのことを問題とすることは少ないが、上下両院軍事委員会は2000年度予算の中で国防総省が今後20-30年間に必要とする艦艇量について総括的報告書を提出するための予算措置を講じている。(囲み記事4-1)

艦艇建造予算は2001-06会計年度の間に海軍の建造予定を50億ドル下回る予定で、海軍はどの艦を削るかで四苦八苦している。とりあえず2000会計年度で認められた多目的輸送艦は2001、02会計年度では見送られ、2003会計年度に建造が予定されていた新型攻撃潜水艦はとりやめ、さらに2005会計年度の沿岸駆逐艦(DD-21)3隻は2隻となる予定と発表されている。議会が海軍に求めている報告書は300隻体制の根拠であり、本報告書の内容は今後の艦艇建造量を大きく左右することとなろう。

 

 

 

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