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現在でもハブ港として機能しているシンガポール港は年間1,500万TEUのコンテナをHTSしている。

HTSの利点は倉庫、内陸へのトラック輸送、書類作成作業が減ることである。さらに大型コンテナ船のスケール・メリットを生かすこともできる。6,000TEU以上の大型船を使うことによって寄港数を減らすこともできる。ハブ港の名乗りをあげているのは上記シンガポールの他、香港、サララ(イェメン)、デュバイ、マルタ、Gioia Taurs(イタリア)、アルゲレラス(スペイン)、ロッテルダム、ロサンゼルス、ロングビーチ、フリーポート(バハマ)、パナマ運河両端の諸港等である。

HTSが今後海運界を大きく変えていくという一部専門家の見方に対して、海運界には基本的に大投資を必要とするHTSには懐疑的であり、従来の方法の方が時間もかからずコストも安いと反対する声も多い。しかし、海運業界も超大型船の場合のHTSの利点は認めているので、むしろケース・バイ・ケースでの異議と言うべきかもしれない。

HTSが一般化している航空業界でも小型機による点間運航(Point to Point Operation: PTP)が見直されていると言っている。要するにケース・バイ・ケースでHTS或いはPTPの何れかの採用が決まるであろう。地中海のように1980年には40万TEUであったものが1996年には650万TEUとなり、2005年には1,200万TEUとなることが予想されている地域はHTSが適しているが、地中海の何処の港がHTSとなるかは今後の問題である。

 

過去3年間M&Aのほとんどが国境を越えたM&Aである。前述したように企業経営者が真の意味のグローバリゼーションを理解し始めているといっても、文化の違いの壁は大きく、過去3年間のM&Aが成功するか否かはの結論はかなり先となる。

文化の違いを考えた場合、M&Aの容易さの視点からすると、自国内の海運会社のM&Aは産業にそれほど急激な変動を与えないので好ましいという意見もある。自国内のM&Aとしてどのような会社が考えられるかの予測は正確には不可能である。

対象として考えられるのは日本(MOL、NYK、K-Line)、台湾(Evergreen、Yan Ming)、中国(COSCO、China Shipping Group、OOCL)、ドイツ(Hapag-Lloyd、Hamburg-Sud)等である。

 

 

 

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