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3-3 米国海運業M&A具体例―国内航路

国内航路はジョーンズ・アクトの内航保護規制下にある航路であり、大きく分けて沿岸航路、非隣接航路、内陸バージ輸送に分けられる。本節では典型的なジョーンズ・アクト船のM&Aの例としてアラスカ原油を輸送するタンカー業界及び内陸バージ業界を考察する。

 

アラスカ原油輸送業界

ジョーンズ・アクト船は法律に守られて安泰のように思われるが、外航船よりも厳しい市場状況である。ジョーンズ・アクト・タンカー市場は参入が比較的容易なので競争が激しい。また、この市場には船社同士の競争に加えて、パイプラインとの競争及び外国の原油、石油製品を運んでくる外国船と競争しなければならない。

さらにジョーンズ・アクトの除外規定としてアラスカ原油の米領バージン諸島への外国籍船による輸送は許可されている。また、アラスカ原油の輸出が1996年6月より許可されており、その場合の米国船主・外国籍船での輸送も許可されている。輸送を合理化しないとジョーンズ・アクト・タンカーそのものの存在価値が問われる状況である。

 

アラスカ原油の最大の生産者であり最大の輸送者はBPであるがこの他エクソン、アルコ等がジョーンズ・アクト船を使って米国西海岸、メキシコ湾岸、東海岸、ハワイ等に輸送し、日本にも外国籍船を使って輸出している。エクソンとモービルが合併してエクソン―モービルとなり、BPがアモコと合併してBPアモコとなったが、これは直接アラスカ原油と関係はない。

しかし1999年4月1日BPアモコとアルコが合併の申請を提出したことはアラスカ原油と大いに関係している。この申請は連邦貿易委員会(Federal Trade Commission: FTC)により両社が合併するとアラスカ原油の生産シェアが7割に達し、独占禁止法に違反するとして却下され両社はFTCと法廷で争う構えであった。両者の言い分はアラスカ原油の競争力を高めるには両社が合併して石油生産コストを下げ、アラスカ・パイプラインや輸送タンカーへの重複投資を避ける以外に方法がないというものである。

その後両社が、アラスカでの支配を極端に強めないためのエクソン・モービルのアラスカでの権利確保等に合意したため、2000年4月13日にFTCはBP アモコとアルコの合併を認めた。

 

 

 

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