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世界的にレートを下げる要因は山積している。まず海運同盟やコンソーシアムの力が弱まり、レートを高く維持することが難しくなっている。また、中国、台湾、シンガポール等のアジアの巨大海運会社がシェアを急速に伸ばして安いレートで運航している上、大型コンテナ船が増えてコンテナ船を満船とすることが難しくなっている。さらに新造船の導入で輸送コスト自体も下がっていること、サービスの質で差別化出来ない法制面等々の要因を数え上げればきりがない。

オーバー・キャパシテイと低レートに加えて通貨の変動、法制面の変化等で自社の営業努力のみでライナー会社が自然成長することは不可能になっており、アライアンス(Alliance)或いはM&Aにより経営資源を共有し、オペレーションを合理化し、サービスの統合化を進めて、徹底的にコスト高要因を圧縮して利益を確保する、つまりスケールの大きいコスト削減戦略を立てる以外にライナー会社の生き残りは難しくなっており、1999年代前半には多くのアライアンスが、後半には多くのM&Aが進行した。

 

1990年代に入りライナー会社間に運航アライアンス(Operating Alliance: OA)が多く行われた。これは船とターミナルを共有し、マーケティングと情報システムを別とするアライアンスであるが、就航回数、航路が増えたのと同じ効果があり荷主達を喜ばせた。アライアンスの中にはOAに留まらずM&Aに近いものもあった。APLは1994年、MOL、Ndelloyd、OOCL(Orient Overseas Container Line)とグローバル・アライアンスを結ぶ一方、太平洋航路でマトソンとアライアンスを組みマトソンに6隻のコンテナ船を売却し米国本土とハワイ、グアム、韓国、日本間の往航はマトソンが集貨に責任を持ち、復航はAPLが集貨に責任を持つというアライアンスを実施している。

ただしアライアンスは必ずしもM&Aの前段階とはなっていない。シーランドが1991年からマースクとの間で始めた「Vessel Sharing Partnership」と称するアライアンスは1999年のM&Aに結びついているが、これはむしろ例外と言うべきである。

 

表3-2は1995年から1998年迄の世界のライナー業界の代表的M&Aを示したものである。マースクによるシーランドのM&Aは1999年なので、表3-2の中には入っていないが、NOLによるAPL、CP Shipsによるライクス等、米国のライナー会社のM&Aが記載されている。

 

 

 

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