付録1の建造年をみてみると1969年以前建造のジョーンズ・アクト船は31隻であるのに対し、外航船はわずか2隻となっている。したがって表2-2の民間非現役船16隻のほとんど全てはジョーンズ・アクト船であると考えられる。付録1ではジョーンズ・アクト船が165隻数えられるのに対し、表2-1では119隻、表2-2では118隻となっている。
表2-1の数字と表2-2の数字は大体同じであるが付録1のジョーンズ・アクト船165隻との差は、上記民間非現役船16隻の大部分を加え、かつジョーンズ・アクト船として建造された船が外航航路に従事している可能性があると考えれば、説明できる。
表2-2によれば米国商船隊で米国と外国間の貿易に従事している101隻の内訳はタンカー19隻、1,139千DWT、バルク輸送船9隻、435千DWT、コンテナ船55隻2,253千DWT、RO/RO船6隻、107千DWT、その他12隻、311千DWTとなっている。また、外国間貿易に従事している米国籍船13隻の内訳はタンカー13隻、1,059千DWTのみである。外航船は、タンカーとコンテナ船以外は問題にならないほど少ない。MSCチャーター船36隻の内訳はタンカー7隻、195千DWT、ドライバルク船1隻、41千DWT、コンテナ船3隻、66千DWT、RO/RO船14隻、327千DWT、その他12隻、336千DWTとなっている。
ジョーンズ・アクト船ではタンカーの比率が圧倒的に多い。118隻のジョーンズ・アクト船の内訳はタンカー83隻、5,504千DWT、ドライバルク船4隻、103千DWT、コンテナ船23隻、570千DWT、RO/RO船7隻、118千DWT、クルーズ船1隻、7千DWTとなっている。
米国船主が運航する外国籍船いわゆる便宜置籍船の数は急激に減っている。1975年には739隻が米国船主により運航されていたが1986年には430隻となり1997年には357隻となっている(出典:ML 10/98)。米国船主により運航されている外航商船(米国籍及び外国籍)の数は1975年世界商船隊の25%を占めていたものが1997年にはわずか5%となっている。
元来、便宜置籍船は税の負担を軽くするための措置であるが1975年迄は国税規則サブパートFにより船舶運航による利益に課せられる税の免除が認められており、また、1975-86年の間は船舶運航から得られる利益のうち船舶に再投資される分は課税猶予となっていた。
しかし現在、税制優遇措置は認められておらず、このことが米国の便宜置籍船の数を少なくしている理由となっている。国税規則を1975年以前の状態に戻そうとする動きについては後述する。