表2-1の国防予備船隊(National Defense Reserve Fleet: NDRF)とは、第二次世界大戦中大量に建造され余剰となった戦時標準貨物船を国防予備船隊制度を設けて保全管理し、さらにその後余剰となった船舶も加えて国家非常時に再利用しようとするものである。冷戦構造下の1976年にNDRFの中の優秀船及びその他の優秀船も加えてNDRFの中に即応予備船隊(Ready Reserve Force: RRF)が誕生した。
表2-1のNDRFのうちRRFの89隻、輸送能力1,875千トン、シーリフト船7隻、輸送能力258千トン、合計96隻、輸送能力2,133千トンのみが国家非常時に民間外航商船と同じレベルで外航輸送に従事しうる数と考える方が妥当である。なお、表2-1のNDRF船、シーリフト船はMarAdの管理下にあるものであるが、この他海軍が直接管理運航する軍艦扱いのシーリフト船が約50隻存在する。
付録1は1999年4月1日現在MarAdが発表した1,000GT以上の米国籍商船隊の船名録であり、表2-2は同じくMarAdが発表した1999年4月1日現在の米国商船隊の船種とそれぞれの航路別、用途別展開を示した表である。表2-2には自航船の中にタグ・バージ一体型船は含まれているが五大湖船は含まれていない。
付録1、表2-1、表2-2はその時の調査の精度で該当船舶の数字が少しずつ異なっているが、米国商船隊の船腹構成の全体像を曲げるほどの相違はみられない。
付録1の船名録に登録されている船は合計473隻で表2-2の値とほぼ合致する。表2-2では現役船は278隻、そのうち民間所有のものは269隻、外航船は114隻でその航路別内訳は米国-外国航路運航船101隻、外国-外国航路運航船13隻となっている。また、内航船118隻はいわゆるジョーンズ・アクト船でありその内訳は沿岸航路船60隻、米国本土からハワイ、アラスカ、グアム、プエルトリコ等いわゆる陸続きでない非隣接航路船は58隻となっている。また、民間船のうち37隻は軍事海上輸送部隊(Military Sealift Command: MSC)に長期チャーターされ、海外に駐留する米軍に対する軍需物資や政府貨物の輸送に従事している。表2-1では144隻の自航船が外航で活躍していることになっているが、これは表2-2の外航船114隻とMSCチャーター船36隻を加えたものに近い数字となっている。