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現在、米海軍の艦艇の30%が粉砕機及びパルプ化装置を搭載している。

 

その他、NSWCCDが研究開発中の環境関連テーマは下記のとおりである。

* オゾン破壊物質(Ozon Depleting Substance:ODS)

NSWCCDはCFC(クロロフルオロカーボン:特定フロン)に代わる環境に安全な物質を研究しており、どの代替物質が艦艇に最適であるかの結論を得ている。全海軍艦艇はこのCFC代替物質によるエアコン、冷凍装置に切り替えられる予定であり、海軍仕様の中からODSを除去する作業を完了している。また、消火システムの中のハロンをHFC-227ea(ハイドロフルオロカーボン:代替フロン)に置き換えるよう再設計中である。

* 油性液体廃棄物

ビルジその他からの油性液体廃棄物は、NSWCCDが開発した油水分離器及び油分監視装置で処理されている。油水分離器は、特殊設計の平行な板で油水を分離し、油分はホールデイング・タンクに導かれ水分は油分監視装置で残留油分がチェックされ、必要とあらば再度油水分離器に導かれる。本装置の油水のみの場合の分離率は99%以上であるが、油水の中に石鹸や洗剤が混入している場合は油分がエマルジョン化して分離性能が落ちる欠点があり、現在膜方式分離或いは統合液体廃棄物処理装置を研究中である。

* 非油性液体廃棄物

これは、一般にブラック・ウォーター(トイレ)及びグレー・ウォーター(シャワー、シンク、ランドリー他)と呼ばれる液体廃棄物である。現在は、艦上のタンクに集められ保管されて、入港時にポンプで陸揚げされるか許される海域で投棄されている。このカテゴリーの廃棄物は、水量の多いことが特徴である。DDG-51等数種の艦艇は、ブラック・ウォーターを90%減らすことのできる真空タンクを備えている。さらに、2種の艦艇にはブラック・ウォーターを濃縮後燃焼する燃焼機を備えている。

ブラック・ウォーターの生物学的処理装置も研究されているが、現在のところ信頼性とメンテナンスに問題があり実用化されていない。

* 統合液体廃棄物処理排出システム(Integrated Liquid Discharge System:ILDS)

ILDSは、米海軍が21世紀の環境ビジョンの切り札として現在開発中のものである。ILDSでは全ての液体廃棄物は一個所に集められ、高分離膜によって分離後きれいな水は艦外に放出し、油分や固形分を燃焼機のような熱破壊システムにより処理するものである。ILDSの全体システムは未完成であり、ILDSに組み込まれる予定の前記油水分離器やブラック・ウォーター用真空タンク以外のシステム・コンポーネントの開発進捗状況はバラバラである。

膜技術で油水を1/100分量に分離する技術は既に確立されており、艦上テストを完了して中型艦に実機搭載されることが決まっている。また、大型艦用システムの設計も開始されている。

 

 

 

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