MARADの報告では1994-98年度の5年間で合計66のプロジェクトが実施されたが、そのうちの60%、金額にして1億74百万ドルはMARADが管理運営し、残りはDARPAにより管理運営された。
MARITECHプログラムで実施された舶用工業製品関連プロジェクトは、下記の6件である。
* 船舶運航の最適化及び安全システムの開発
Development of Vessel Optimization and Safety System(Sperry Marine)
航海コストを低減し、船舶及び貨物の損傷の危険性を軽減する船舶運航の最適化及び安全システムの開発。
* スマート・ブリッジの開発
Develop and Demonstrate an Integrated Bridge(Martin Marietta)
操縦、航行用の新型で高性能のセンサー、ディスプレイ、自動警報装置を組み合わせた統合ブリッジ・システムの開発及び実証試験。
* 高馬力ウォーター・ジェット推進装置の開発
Develop an Advanced High Powered Waterjet Propulsion(Bird-Johnson)
DODのウォーター・ジェット技術を転化し、先進的な価格競争力のある高馬力ウオーター・ジェット推進装置を開発する。
* タンカー用アンダープレッシャー・システムの開発
Test a Spill Avoidance Systems for Oil Tanker(MH Systems)
衝突、座礁の際、貨油の上面空間に負の圧力をかけることにより貨油の流出を防止するシステムの開発。
* 船上データー情報管理システムの開発
Develop Shipboard Data Management System(Marine Management System)
最先端の情報技術を組み込んだユニークな船上データー管理システムの開発。
* ライフサイクル支援システム
Pilot/Demonstration Ship Lifecycle Support Infrastructure(Marine Management System)
造船所と舶用機械メーカーが船主や船舶運航者に対してライフサイクル支援サービスを提供し、かつ、利益をあげることができるような技術インフラ・ストラクチャーの開発。
MARITECHは、DARPAの作った基本方針に基づきプロジェクトが推進され、推進に当たって民間の主契約者の意志が尊重され、技術成果の使用権も民間側契約者に帰属することを建前としたが、MASEでは基本投資戦略(Strategic Investment Plan:SIP)は1970年以来小規模ながら造船業及び舶用工業分野で産・官・学共同の研究コンソーシアムとして活動を続けていた造船研究開発プログラム(National Shipbuilding Research Program:NSRD)が、DARPA及びMARADの協力を得て作成した。MASEの開発成果は、SIP作成の母体である全米造船エンタープライズの全構成員が利用できることとなっている。