日本財団 図書館


3-4 MARITECHとMARITECH ASE

 

クリントン政権が発足した当時は、造船業のみならず舶用工業も何等かの対策を施さない限り企業数が減少し造船支援産業としての存立は不可能と予想されていた。第4表は1992年当時米海軍が予想していた主要舶用機械製造会社の企業数予測で、2000年における実情とはかなり異なっているが、クリントン政権初期の政策立案のバック・データとしてみる場合興味のあるものである。いずれにせよ、クリントン政権は第4表に示すような危機感を背景に造船業及び舶用工業に対して特別の支援策であるMARITECHと改正タイトルXIを打ち出した。

また、当時の造船業は前述のごとく世界市場で競争し得る船舶の設計、建造能力を確保することが急務と考えられていたので、MARITECHのプロジェクトには新船舶の設計、建造技術、材料技術に関するものが多く、舶用工業製品に関するプロジェクトも含まれてはいるがその数は必ずしも多くはない。

 

第4表 舶用機械及びシステムを供給する米国企業数の見通し

出典:米海軍(1992年)

029-1.gif

 

MARITECHは、1994-98年度の5年間のコストシェアリング・プロジェクトとして計画されたが、1年延長され99年度までの6年間のプロジェクトとなった。この間、MARITECHの予算の一部は、前述のごとくMARITECHの後身であるMASE発足準備のために用いられている。この期間の前半は期近プロジェクトに、後半は長期プロジェクトに注力された。

期近プロジェクトでは、競争力ある船舶設計、マーケット戦略、近代的船舶建造方式及び手順を与えて、米国造船業が国際マーケットに入っていくことを援助した。長期プロジェクトでは、国際マーケットでの米国造船業のシェアを維持あるいは拡大するために、より高い生産性を追求したり、高度船舶を開発するプロジェクトに基金が用いられている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION