さらに、調査した113のプロジェクトのうち37の製品あるいは技術は民間マーケットで売られ、69件が近々マーケット入りする予定であるといっている。つまり、TRPプログラムの中で商業マーケットで成功の見込みの無いものは少ないと結論している。
TRPのプロジェクトは、軍用よりも商業用により多く使われる結果となっている。この理由として、本報告書は次の3点を挙げている。
* DARPAの軍用移行戦術の欠如と民間産業が求めている実用化ステップに対する援助の不足
* 産業界が一般的に、商業マーケットの方が利益が多いと思い込んでいる点。軍事マーケットの担当者は常に商業マーケットとの採算比較を強いられる。
* プログラム基金が終ると、もう少し進めば完成状態になるにもかかわらずDODがそのプロジェクトを終結してしまう体質を持つ点。
先端技術プログラム(ATP)はNIST所管のプログラムであるが、1994年5月、NISTは今後5年間に次の5つの技術分野に重点を置いて助成する旨を発表した。ATPの中には造船業、舶用工業に直接関係するものは含まれていない。
* 健康保険制度(総額1億85百万ドル)
健康保険会社による患者のデーター入手を容易にし、又一般人の健康に関する情報の入手を容易にする全国健康保険情報基盤構造開発。
* 素材技術(総額1億6千万ドル)
自動車の軽量化技術、橋梁・道路の耐久性技術開発。
* 電子工学(総額1億5百万ドル)
電子産業研究開発。
* ソフトウェア・システム(総額1億5千万ドル)
大型ソフトウェアシステム用の再利用可能な部品の開発。
* DNA分析(総額1億45百万ドル)
人間、動物、植物の疾病に関する低コストの診断を可能にするDNA分析技術及び機器の開発。
ATPは一般公募プロジェクトの中から競争により選定されるが、NISTは選定プロジェクトに関ししっかりと定義された技術上及びビジネス上の目的を有し、研究開発から市場まで一連の繋がりを持つ明確な研究計画を有することを要求している。
プロジェクト実施期間は概ね5年以上で、それぞれのプログラムで複数の競争者があることを求めている。ATPは前述のごとく、ハイリスク・ハイリターンを期待するものであるが、例えば高温超伝導、レーストラック磁石の電気モーターへの応用といった他のプロジェクトではみられないハイテク製品の開発を支援するものである。