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1999年6月にムーディズは「Friede Goldman Internationalによるハルター・マリン・グループ株買収による合併が実現しなかったならば、1999年におけるハルターの業績と今後の見込み、オフショア部門の市況、そして最も重要な受注残高の動向によっては、ハルター株価の下げ圧力となりかねない。」とコメントしていた。

また、財政状況の悪化に伴って旧経営陣が進めようとしていたリストラ及び人員削減による経常経費の低減と工程及び品質管理の改善が思うように進んでいなかったことから、新会社設立に伴いこれらの施策をより強力に進めることができるメリットもあるものと考えられる。

 

なお、1999年6月の合併合意後の両社の交渉の結果、両社の株式の交換比率をハルター・マリン・グループ株1:Friede Goldman International株0.57(6月の合意時には0.4614)とすることが1999年9月14日に発表され、1999年11月3日にはこの条件で合併が正式なものとなった。

この条件の引き上げについては、一部投資家の間からは懐疑的な見方も出ている。また、財務状況の悪いハルター・マリン・グループを抱え込んだことから、合併後のFriede Goldman Halterの経営を危ぶむ声も一部業界筋にある。

 

2-5 最近の集約統合における特徴

 

本セクションでは、米国造船産業における最近の集約統合化についての特徴的なポイントのうち、わが国造船産業の構造問題に関する今後の戦略策定の参考に資すると考えられる事項をいくつか挙げることとした。米国と日本では、企業の合併・買収に対する歴史、考え方、環境等がそもそも異なるうえに、造船産業の市場構造も大きく異なることから、米国造船産業における集約統合戦略がそのままわが国造船産業にあてはまるとは限らない。しかしながら、1999年8月末に造船業構造問題研究会がまとめた報告にもあるとおり、2000年代に予想される韓国造船業との厳しい競争に対処するうえで、わが国造船業の集約統合による競争力強化は無視し得ない要素であり、最近における米国造船産業の集約統合化の動きはわが国造船業にとっても研究の余地が大いにあるものと考えられる。

 

 

 

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