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(3) ジョーンズ・アクト船等の国内船市場

国内船市場は、前述したハワイ航路向けクルーズ船やアラスカ航路向けタンカーのような大型のジョーンズ・アクト船のほか、フェリー、タグ等の小型船の建造発注が散発的に見られる程度で、全体としては停滞している。

業界では、ジョーンズ・アクト船の大半を占めるタンカーについてOPA90に基づく代替建造需要に期待を寄せているが、もともと供給過剰の状態にあることに加えて、米国国内における建造船価が高いことやパイプライン輸送が進展していること等から、新造船発注が近い将来急激に増えることはないとの見方が一般的である。このように国内船市場においては、将来も大幅な成長は期待できない状況にある。

 

2-3 米国造船業界における集約統合化の概況

 

以上に述べたような市場の状況を反映して、米国造船業においてはここ数年間にわたり活発な合併や買収の動きが見られ、その結果として、上位5社が米国における船舶建造・修繕の売上高の93%を支配するまで集約統合化が進んだ。

まず、海軍艦艇を建造するいわゆる「6大造船所」は、1995年以降の一連の買収により、船舶建造・修繕分野年間売上高が32億ドルで業界最大手のジェネラル・ダイナミクス(GDマリン・システムズ・グループ)と、これに次いで年間売上高約20億ドル弱でほぼ拮抗するニューポート・ニューズ造船とリットン・インダストリーズ(リットン・シップ・システムズ)の3社に集約された。

さらに、海軍艦艇の修繕分野においても集約化が進み、原子力船以外の艦艇修繕では最大手である西海岸のサウスウエスト・マリン及び東海岸のNORSHIPCOを買収したカーライル・グループがUS マリン・リペアを設立した。同社の売上高は4億ドルで業界第5位である。

また、1990年代半ばからのオフショア市場の好況に対応して、買収・統合による拡張政策をとったオフショア大手4社のうち、最も積極的な企業買収を行っていたハルター・マリン・グループは企業買収のための負債が会社の経営を圧迫し株価が暴落した結果、ライバルのFriede Goldman Internationalに買収された。両者の合併による新会社Friede Goldman Halterは、船舶建造・修繕分野の年間売上高が約15億ドルとなり、海軍艦艇を建造するビッグ3に次ぐ造船勢力となった。

 

 

 

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