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3] 株価の上昇

大型M&Aのブームに火を付けた第3の動因は株価の高騰である。ダウ平均は過去5年間で2倍半に上昇した。企業は、騰貴した自社株と株式交換制度を利用することにより、他社の買収に伴うコストを大幅に低減することが可能となり、最近における大型M&Aを後押しする結果となったのである。

 

過去5年間のダウ平均の推移

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出典:ダウ・ジョーンズ

 

4] 合併会計処理規則

第4の要因は、合併会計処理規則におけるプーリング方式の採用と株式交換のみによるM&A取引に対する優遇措置である。特にプーリング方式は、ヘルスケア、銀行、コンピューターソフトウェア、情報技術等の部門におけるM&Aに大きな影響を与えたと言われている。例えば、最近におけるシティコープ/トラベラーズ、エクソン/モービル等の合併において、プーリング方式は主要な動因のひとつに挙げられている。

プーリング方式(pooling of interest)とは、M&A取引きに関わる複数企業のバランスシートを、税金の影響を受けることなく、項目ごとにコンバインする合併会計処理方法である。非プーリング方式による合併会計処理の場合には、買収する側の企業は買収を投資として取り扱い、買収価格と買収した有形資産の公正な市場価格との差額〜すなわち「グッドウィル1」をバランスシートに計上し、その金額を最長40年間にわたり償却する必要がある。

 

 

 

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