しかし、現在のところ、この取引きは非常に理にかなったものに見える。戦略的リスクはあるが、財政上のリスクはなく、リスクに見合う価値は充分にある。
2] 国防予算の縮小
M&A活動の第2の動因は、国防予算の縮小とこれに伴う国防産業エコノミクスの再編成である。
1990年以降、冷戦構造の終結に伴って国防関連調達予算が大幅に減少したために、1970〜80年代に存在した数の防衛関連企業を維持する余地は既になくなっている。例えば、1996年半ばにボーイングがマクダネル・ダグラスを130億ドルで買収したのも、国防契約企業の間で頻発している統合整理の一例に過ぎない。この合併により、国防関連産業の大部分が、ボーイング、ロッキード・マーティン、レイションの大手3社に集中する結果となった。