例えば、機関単体の燃料消費量(SFC)は、図5.1-1に示すように1970年代と1990年代を比較した場合、150g/PSH程度から120g/PSHへ、約20%程度改善した(ディレーティングを行った場合は25%程度の改善にあたる)。
これは、図5.1-1に示す最大燃焼圧力の上昇、機関の低速化、静圧過給、ロングストローク化などによるものである。なお、同時に機関重量も軽減化が進み、船舶全体での輸送エネルギー効率改善に繋がっているものと考えられる。同様に4サイクルについても図5.1-2に示すように機関熱効率の大幅な改善が見られた。
しかし、図5.1-1及び図5.1-2によれば、近年は4サイクル機関、2サイクル機関ともに熱効率の向上の傾向は停滞気味である。これには、燃料代の安定化傾向、NOx規制など熱効率優先の設計を見直さざるを得ない傾向、ユーザー側の輸送速度アップ志向を受けた同規模機関の出力アップ志向など複合的な要因が関与していると考えられる。一方では、仮に燃料単価が大幅に上昇するなどの、外的要因があれば、再び燃費重視の技術開発が促進される可能性もある。