1.1.1 燃料消費量を示す基本式
以上の検討を踏まえて、船舶カテゴリー別のCO2排出量を計算する基本モデルを考える。
船種カテゴリーをi、船型カテゴリーをj、船齢カテゴリーをkとすると、燃料油の年間消費量をあらわす式は次のように表現される。
ここで
Ptotal:外航船舶全体での年間燃料消費量(t-Fuel/年)
Pijk:船種i、船型j、船齢kに属する船舶の年間燃料消費量(t-Fuel/年)
RTijk:船種i、船型j、船齢kに属する船舶の平均輸送エネルギー効率(タンカー・バルカーではt-Fuel/トンマイル、コンテナ船ではt-Fuel/TEUマイル)
TRijk:船種i、船型j、船齢kに属する船舶の年間輸送総量(タンカー・バルカーはトンマイル、コンテナ船ではTEUマイル)
Cijk:船種i、船型j、船齢kに属する船舶の1隻あたり1日あたりの燃料消費率(t-Fuel/隻・日)
Xijk:船種i、船型j、船齢kに属する船舶の年間航海日数(日/年)
Sijk:船種i、船型j、船齢kに属する船舶の総隻数
この式は単純であり、船種i、船型j、船齢kに属する船舶の平均的な燃費と、それに対応する単位系のカテゴリー別稼動量(輸送量や航海時間等)を掛ければ、船種i、船型j、船齢kの年間燃料消費量がわかることを意味している。従って、すべて合計すれば外航船舶全体での年間燃料消費量がわかるし、船種別集計、船型別集計、船齢別集計も当然可能である。
実際の解を求める場合には、単位系の揃ったデータがあればそれを使えばよいわけであるが、概して燃費の単位系に合致する稼動量の数値がない場合が多く、データの単位系を揃えるための様々な作業が必要となる。
1.1.2 船舶の輸送量を示す基本式
次に船舶による「輸送」をどのように数式的に表現するかを考えてみる。
基本として、1隻の貨物船が一回の航海で輸送した量を考えてみる。その船の載荷可能量(DWT/隻もしくはTEU/隻)をK、正味の積荷率をα、年間航海日数をX、平均運航速度をνとする。すると、この船が一航海で輸送した量は、
(輸送量)=K×α×X×ν
で表される。前半部分、すなわちK×αはその航海で運んだ重量もしくはコンテナの個数を示し、後半のX×νは時間×速度であるから輸送距離を表わす。すなわち輸送量は重量×距離の単位系で表され、通常タンカーやバルカーでは「トンマイル」で、コンテナ船では「TEUマイル」で表現されることになる。