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3.4 海事関連サイトの現状について

現在、インターネットを介して企業間で取引を行うeMarketplaceは約500あると推測されるが、米国の調査会社フォレスター・リサーチによれば、今後1万以上に膨れ上がり、また、2004年には米国におけるeMarketplaceの取引金額が2兆7,000億ドルを超え、企業間取引全体の2割を占める見込みであるとも予測されている。

そこで、海事関係のeMarketplaceとして現在知られているポータルサイトを簡単に紹介すると以下のとおりである。

海外では、標準部品や中古部品の取引仲介を謳い文句にしているILSmart.com (http://www.ilsmart.com/marine.htm)や、香港を拠点とする船舶管理会社WallemとベンダのArenaが協同で開設したMarine LINE (http://www.line.net/)がよく知られており、我が国では、用船や中古船売買を主に仲介するマリンネット(http://www.marine-net.com/)やE-JAN (http://www.e-janworld.co.jp)および、日本機械連合会が会員企業の資材調達需要情報を品目別に集約・掲載した「資材調達network」(http://www.jmf.or.jp/japanese/top.html)サイトが平成12年4月に開設されている。

また、tribon 3D systemを売りものにした、造船・舶用業界向けのtribon.com (http://www.tribon.com)も現在参加メンバ集めに奔走している。

これらのサイトの大部分は、カタログ紹介によるビジネスチャンス提供が中心であり、中には部品調達を売りものにしているサイトもあるが、それも大半が標準品を対象にした部品調達仲介である。また、引合い等、データの受け渡しに関しても電子メールによる単純な情報交換の仕組みしかない。

また、バイヤーとサプライヤの間が緊密な関係を形作っている現在の海事業界のビジネス形態を勘案すると、これらのサイトから画面上の単純操作で注文するようなケースは、規格化された単純な部品を除いて、ほとんどないと考えられる。

一方、造舶Webは、利用者が主体となって、交換される情報項目まで標準化しており、特定メンバ間で頻繁にやりとりが発生する受注生産タイプの取引に向いた、ユニークなサイトである。

ユーザーサイドの主導で構築されたeMarketplaceを除いて、アイデア先行で、単純な取引形態を想定したこれらのサイトが、将来どれだけ生き残っていけるかは、早い、やすい、使い勝手がいいと云う三拍子揃ったマーケット原理に沿って、現実の業界態様とのマッチングをどう工夫し、具体的な価値をいかに創造して提示できるかにかかっている。

 

 

 

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