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標準化最終案は、企業間情報交換の規約であり、参加会社すべてがその協議(ただし舶用側は自社が関係する品目のみ)に参加して最終的に合意したものである。それゆえ参加各社には、他社との情報交換の仕組み作り及び実施にあたって今後はその最終案を尊重・遵守することが求められる。また各社にとっては、この標準化最終案に準拠した形で、情報交換の円滑化やデータ再利用による業務効率の向上を目指すことが、自社のQCD (Quality、Cost、Delivery)の大幅改善を図るための近道でもあると考えられる。

つぎに、システム開発であるが、表2-1の全体スケジュールに示すように、初年度の仕様検討の結果を受け、第2年度から実際のシステム(これを造舶Webシステムと呼ぶ)の作り込みを始めた。システム開発の手法としては、いわゆる「ラピッドプロトタイピング」を採用し、同表に示したように初年度の第4四半期に仕様固めの一環としてプロトタイプシステムを開発してトライアル実験なるものを行ったあと、このプロトタイプをベースにまずバージョン1なるシステムを第2年度上期に開発し、それを後述の実証実験によるシステム運用の結果をいろいろな立場のプロジェクト関係者が評価し、造舶Webシステムに対するイメージづくりや、また各々の関係者が考えている「システムのあるべき姿」についての意見集約を行った上、以下の基本方針の下、残り1年半のプロジェクト期間中にシステム開発と実証実験を交互に繰り返しながら、バージョン3、バージョン4と順次使いやすさと機能向上を図った改良版を出し(V3→V4は大改造。それ以外にV4.10、V4.12、V4.2といった風なマイナーバージョンもある)、最終的に実用化版V1.0として平成13年3月15日にリリースした。詳しくは5章(システム開発)および6章(実証実験)を参照されたい。以下に、その「システムのあるべき姿」と開発方針について述べる。

(1) 造舶Webシステムのあるべき姿

造舶Webのイメージは、造船所・舶用メーカ間にクモの巣(Web)のように張り巡らされ、設計・技術情報交換をしっかりと支えるネットワークというものであるが、同時にそれは

1] オープンかつ拡張性に富んだネットワーク

2] 安価で容易に参加できるネットワーク

であらねばならない

(2) 開発方針

上記を実現するため、COTS (Commercial Off The Shelf;商用既製品)を極力活用し、自己開発は必要最小限にとどめることとした。また近年社会インフラとして急速に普及しつつあり、またその機能の更なる向上(ex:HTML[見るだけ]→XML[データが取れる])も現在期待されているインターネットを最大限活用することとした。ただし、専用線を使う場合と違い、インターネットのようなオープンネットワークの利用に伴って生じる、またそれ以前の問題として電子情報の特質それ自体から来るネットワークセキュリティの問題、例えば、認証性・完全性・唯一性・等価性・保存性・証拠性の保証等の問題がある。

 

 

 

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