幸い本分野での技術進歩はハード、ソフト両面において日進月歩であり、ついこの前まで高価なEWSを駆使するシステム専門家間でのみ可能であった事柄の多くが今や家庭用のパソコンの世界においても実現しつつある。その意味で造舶Webはシステム技術的にも、またインターネット革命とかIT推進とかいった言葉が日常用語として飛び交うようになった今日の状況、すなわち社会環境的にも、まことに時期を得たプロジェクトであったといえよう。ただしもちろん現状のインターネットや商用既製の各社Officeソフト類だけですべてが出来るわけではなく、様々なカスタマイズや独自アプリケーションソフトの開発も必要最小限はやらねばならなかったし、また、セキュリティ確保といった公衆回線利用に伴う問題点に対しその対応策を適切に講じる必要はあった。
2.2 プロジェクトの狙い
本プロジェクトの目的は、その通称のごとく造船と舶用工業の各企業間に文字通り蜘蛛の巣のように情報ネットワーク網を張り巡らし、情報(主として設計・技術情報)伝達の電子化により造船、舶用の両者が共にQCD (Quality、Cost、Delivery)の大幅な改善を図ろうというものである。期待される具体的な効果としては、大別すると「業務の連結(図2-2)」と「情報の共有化(図2-3)」を挙げることが出来る。