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5 今後の展望

 

(1) 船舶毎のサポートページの継続運用

平成12年度の本調査研究事業においては、舶用機器アフターサービスの実態調査、船-舶間の高度情報化の一部トライアルとしてサービス実験を経て、高度情報化アフターサービスの概念設計/ビジネスモデルの策定を行った。次年度以降の調査研究では、e-サービスプレイスの実現に向けての具体的なステップ(4.3節参照)を踏み出す必要がある。

しかし、現時点では、海運業界ならびに舶用業界においてe-サービスプレイスヘの理解は決して十分ではなく、今後の活動を通じてe-サービスプレイスの有効性を明確に示していかなければならない。一方で、“e-サービスプレイスとは何か”に対して広く理解を得るためには、それが具体的に見える、利用者が体感できる姿としてある必要がある。

本年度のサービス実験で用いた本船毎のサポートページは、対象機器を発電機エンジンに限定して、なおかつ情報コンテンツは限られた期間で用意できるもの、といった制約の多い中で準備された。しかし、サポートページの運用をこれで終わりとするのではなく、情報コンテンツの内容を問うような“深さ”の面と、他の舶用機器のコンテンツも掲載する“広さ”の両面から運用の継続を検討し、さらには情報コンテンツの標準化にまで議論をつなげていくのは大いに意義あることである。それはまた、上述のe-サービスプレイスの有効性を議論する際の材料ともなり得る。

 

(2) e-サービスプレイスの有効性評価としてのSCM(サプライチェーン)モデルの検討

e-サービスプレイスを構築する最も重要な目的は、舶用メーカによるアフターサービスの高度情報化を通じて、「本船」-「SI」-「修理業/代理店」-「部品業/代理店」-「舶用メーカ」-「部品メーカ」の多様なプレーヤから構成される舶用機器管理業務の一連のつながりに対して、コスト、スピード、正確さ、の面で全体最適化を図ることである。機器管理の充実はまた、船舶全体の管理の充実、安全運航の確保にも当然に結びついていく。

いわば、このつながりは、舶用メーカを製品、部品、およびサービスの供給側とし、SI、本船を調達側とする、サプライチェーン(SCM)に他ならない。e-サービスプレイスが提供する情報と機能を用いて、サプライチェーンが実現できるか否かが、すなわちe-サービスプレイスの有効性を評価する重要な指標となる。

サプライチェーン実現の検討を行う際には、チェーンの最も上流側となる「舶用メーカ、部品メーカの工場」から、最も下流である「本船」に至るまでの一連の情報と業務を詳細に洗い出し、また各々の業務にかかる工数を把握した上で、e-サービスプレイス導入による効果のシミュレーションを試みていく。

 

 

 

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