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併せて各々のプレーヤが抱える課題や問題点を抽出し、その解決策を提示していく。検討の範囲を「本船」までに広げるのは、サービス実験がそうであったように本調査研究事業の枠の中では困難であるが、例えば国土交通省が推進する「海のITSプロジェクト」と連携して行うことも考えられる。

解決策は、基本的にはe-サービスプレイスが提供する情報と機能により与えられるべきものだが、あるいは従来までの船社・船舶管理会社の体制、SI業務の内容、舶用メーカの体制等の見直しを迫るものである。

 

(3) 船舶管理業務および高度情報化に関する海外動向の把握

〜e-サービスプレイスのグローバル対応の検討〜

本年度の舶用機器アフターサービス実態調査は、外航・内航の邦船社、および国内の舶用メーカを対象に行った。e-サービスプレイスの内容は、これら調査結果も基にして設計されている。しかし、e-サービスプレイスはそのユーザ(船社、船舶管理会社、舶用メーカ等)を国内に限定するものではなく、グローバルな電子商取引の場としても考えるべきであり、そのためには海外動向を把握し、必要ならば新たな情報と機能の拡張への対応も求められてくる。

海外動向とは具体的に、海外の船舶管理会社におけるSI業務の実態と、同様に海外の舶用メーカによるアフターサービスの高度情報化状況である。一例として、香港を拠点とするWallem Ship Management社は既に船用品・舶用品のe-マーケットプレイス8を立ち上げ、自社内で標準的に用いる船舶管理支援ツール9と連携させているように伝えられている。そこで、SIがどのようにe-マーケットプレイスと支援ツールを駆使し、また舶用メーカとの関わりをどのように行っているかは興味深い。また、舶用メーカの事例としてエンジンメーカであるWartsila社が電子マニュアル10のインターネット上からの利用提供をはじめ、さらにパーツオーダや予防保全のためのサービス11も追加したとのことである。後者については、舶用メーカ側の取り組みそのものよりも、むしろユーザ(SI)側がそれをどのように業務に取り込んでいるかを知ることがe-サービスプレイスの充実に資するものとなる。

今後の調査研究では、これら海外動向を把握し、e-サービスプレイスのグローバル対応について検討を行うことも必要不可欠である。

 

8 立ち上げの当初は自社の調達サイトであったが、最近になって他船社にも利用を開放してn対nのe-マーケットプレイスとしての活動をはじめている。

9 製品名:AMOS

10 サービス名:ELDOC2i

11 サービス名:FAKS2i

 

 

 

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