e-サービスプレイスの概念のみを示した現段階においては、多くの舶用メーカが指向するのはおそらく「1]新機種(新台)受注誘導型」、ないし「2]補修部品・工事受注誘導型」のタイプと思われる。
3つ目の「3]情報コンテンツビジネス型」の理想形態である機器管理のアウトソーシングを提供するには、舶用メーカは稼働中の機器の状態・状況をほぼリアルタイムに把握できなければならないというハードルが存在し、そのためには情報コンテンツとして“コンディションモニタリング”や“リモートメンテナンス”のサービスが不可欠となる。情報交換の対象を陸側の船社・船舶管理会社から、本船にまで拡張させることが求められる。
1]→2]→3]のタイプに移行する毎に情報コンテンツ、高度情報化サービスが持つ付加価値は増していく。逆にいえばそれだけ舶用メーカがコンテンツに関わる負担も増大する。
e-サービスプレイスは多様な舶用機器を扱う多様な舶用メーカの共同出資に基づき構築されるが、個々の舶用メーカにおけるビジネスモデルは、おそらく統一的にはならず、割合の差はあれ3タイプが並立するものと思われる。
どのタイプを選択するかは、まさに各企業の経営方針であり、情報コンテンツに振り向けるリソース(ヒト、モノ、カネ)と、期待効果を勘案しながら判断される。
一方で、e-サービスプレイスとしてのビジネスモデルは、各々の舶用メーカ自身のビジネスモデルに当然にリンクしていく。舶用メーカの多数の割合が1]から3]に移行していくに従い、e-サービスプレイス上での直接的なビジネス活動が活発化していくことになり、e-サービスプレイスとしては入会金、会費等を重視する固定料金制よりも、むしろモノ(新機種、部品、工事)や情報コンテンツ、サービスの受発注に対して一定の料率でマージン(手数料)を徴収する変動料金制が適当となる。