4.2 e-サービスプレイスによる高度情報化アフタサービス
本節では、4.1節までに検討した高度情報化アフターサービスの方向性に基づき構成した概念設計結果を示す(図4-7参照)。
(1) 全体方針
概念設計構築の最も基本的な方針として、舶用メーカによる高度情報化アフターサービスは、多様な舶用メーカによる共同事業運営体としてのe-サービスプレイス(ポータルサイト)を通じて行うものとした。
アフタサービスを享受する側の船社・船舶管理会社からみれば、各船に搭載する多くの舶用機器毎にそれぞれ異なった利用形態や内容のサービスを受けるよりも、ワンストップの形態で多様な機器に対して多様なサービスを受けることのできるメリットは大きい。そのためにはe-サービスプレイスの形態が最も相応しい。
提供するサービスの内容を、異なった舶用機器間で全く同質に揃えることは現実的ではないが、内容、項目、インタフェース等に対して、ある程度のメタなレベルでの標準化、すわなち標準仕様を制定することは十分に可能と思われる。
また、本概念設計ではe-サービスプレイスとして舶用機器に関する多くの情報と機能を集約、管理、さらには提供する単位として、船舶毎のサポートページを用意する考え方をとった。本年度調査研究におけるアフターサービス実験で用いた実験船のサポートページ(3.3節ならびに資料編「サービス実験実施記録」参照)を拡張したものとして、発電機エンジンのみならずあらゆる舶用機器に関する情報が集約されたものである。
e-サービスプレイスのユーザは、まず自社が運航する各船単位のページにアクセスし、さらに都度必要な舶用機器(主機関、発電機機関、ポンプ、航海機器、荷役機器等)を選び、情報と機能にアクセスする。
当然ながら、e-サービスプレイスが扱う情報のほとんどは、セキュリティコントロールによって保護されている。ユーザは自社が運航する船舶以外の情報にアクセスすることはできない。利用できるのは、e-サービスプレイスに事前に登録したユーザが、自らに関係のある情報のみに対してである。これにより、情報と機能を提供する側の舶用メーカにとっても、自社の顧客に関する情報が外部に漏れることは完全に遮断できる。