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(3) 容量及び包装

危険物容器及び包装に関しては、危険物船舶運送及び貯蔵規則の改正により平成3年から、小型容器及び中型容器(大型金属容器については昭和62年より)についてその技術基準が定められるとともに危険物容器検査制度が実施されており、収納する危険物の危険性の大小を示す容器等級に応じた強度を有することについて検査を行い、検査合格を示すUNマーク等の効力ある表示を有する容器包装の使用が義務付けられた。

本制度の採用により危険物容器及び包装の性能や強度について安全性が確保され、輸送中の自然漏洩やコンテナ落下事故発生時の危険物の漏洩等の可能性は低減したものと思料される。

 

(4) 船内防災休制

昭和59年以降建造される船舶については、危険物船舶輸送及び貯蔵規則の改正により危険物を個品運送する場合の前提条件として、危険物運送船適合証の所持が義務付けられ、運送する危険物の分類及び貨物区画の種類に応じ危険物輸送に係る消防設備が整備されており、これにより船内事故発生時における被害拡大の防止体制の強化が図られたものと思料される。

 

昭和48年の検討時において、コンテナ専用岸壁における事故想定として最も問題とされたのは、

イ. コンテナ落下の際の衝撃による発火

ロ. コンテナ内貨物の漏洩による引火

ハ. コンテナ内貨物の化学的又は物理的変化による自然発火

ニ. 他物の物理的衝撃による発火

等を原因とする火災事故であったが、上記(1)〜(4)項目について安全性の向上が図られたことにより、結果として、事故発生要因(コンテナ落下、コンテナや容器包装の破損等)及び被害拡大可能性が減少し、火災事故等被害が船全体に及ぶような事故について、その発生の可能性が更に減少したものと思料される。

なお、火薬類による爆発事故については、上記状況においても衝撃等の危険性を回避することは困難であり、火薬類特異な危険性に着目した場合、許容量を緩和する程度には安全性が向上したとは言い難いので現行と同様であると思料される。

 

 

 

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