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3.5 荷役許容量に関する考察

危険物荷役許容量は、万が一荷役中に危険物の火災、爆発、流出拡散等の事故が発生した場合であっても近隣住民の生命若しくは身体、施設へ被害を及ぼさないように、取り扱う危険物の種類ごとに荷役許容量を定めている。コンテナ専用岸壁(C2岸壁)については、昭和48年の検討により、コンテナ危険物荷役の安全性を考慮し、C1岸壁の2倍と定め、その後昭和54年の検討(資料2荷役許容量の現状参照)により許容量の見直しが行われ現在に至っている。

その後、20余年が経過し、コンテナ船の大型化及び危険物海上輸送のコンテナ船への依存度の上昇による輸送量の増加、社会経済機構や顧客のニーズの変化に鑑み、関係団体より荷役許容量の緩和の要望があり、今回許容量見直しの可能性につき調査研究を行った。

本委員会では、陸上及び船側の諸設備や体制について昭和48年の許容量制定当時から現行までの安全性の向上に着目し調査検討を行い、その結果として以下のとおり考察を取り纏めることとした。

 

3.5.1 48年当時との比較による安全性の向上

(1) コンテナクレーン

コンテナ荷役で使用されるガントリークレーンは、船型の大型化によるコンテナ数の増加に伴い大型化・高速化が進む中、その安全機構については、昭和48年当時に比べ倍以上の項目の安全装置が追加され、現在32項目の安全装置が装備されている。

特に、近年において追加装備された「コンテナの吊り具操作部(ツイストロック)のインターロック」及び「巻き上げ部の過荷重防止機構」については、これらの装置の装備により、コンテナとスプレッダーの不完全着脱防止、スプレッダーの破損及びワイヤーの切断の防止が図られ、ガントリークレーンの安全性は格段に進歩していると思われる。この結果、コンテナ荷役中の事故として最も危険といえるコンテナ落下事故の防止が図られ、事故発生の可能性は極めて小さくなったものと思料される。

 

(2) コンテナ

危険物を収納するコンテナは昭和52年CSC条約(58年一部改正)の発効に伴い、コンテナ製造時の構造検査並びにその後一定間隔での保守点検義務が課せられ、検査合格を示すCSCプレートの貼付のないコンテナの使用が禁止された。これにより、現在のコンテナは一定の強度が確保されることになり、荷役中、落下事故や接触事故が発生した場合におけるコンテナの損傷が抑えられ、災害発生の可能性は低減したものと思料される。

 

 

 

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