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その後、加盟各国は準備を進め、1991年から小型容器及び中型容器に関する危険物容器検査制度が世界的レベルで制定実施されることになった。我が国においてもIMDGコード第25回改正に基づき平成3年に危険物船舶運送及び貯蔵規則(危規則)の一部を改正し、規則第6条第3項及び第129条の3を基本条文としてこの技術基準を定め検査制度を採用し実施した。なお、大型金属容器については昭和62年から検査制度が実施されている。

危規則では、危険物容器検査制度の採用以前には、危険物の容器包装に関しその種類、許容要領・質量、充填限度等は定めてはいたが、その性能や強度に関しては定量的な要件を要求していなかった。本制度採用後には、容器包装に性能試験を課し、収納する危険物の危険性の大小を示す容器等級に応じた強度を有することについて規制当局が検査を行い、検査合格を示す有効な表示(UNマーク又は承認版)を有する容器包装の使用を義務付けた。

これにより個品危険物の容器包装の安全性は、本制度以前と比較し格段に高まったといえる。

世界レベルでの危険物容器検査制度の開始以来10年を経た今日、国連危険物輸送専門家委員会を中心として弛まぬ危険物輸送の安全性追求の努力並びに輸送及び包装関連事業界における経験の積重ねと技術革新により個品危険物の安全輸送はなお一層確立されつつある。

 

(参考) 個品運送における容器包装について

1. 容器包装の種類

個品運送に使用される容器包装は、容量等により次のように区分される。

1] 小型容器(450リットル以下)

ドラム、袋、箱等

2] 中型容器(3,000リットル以下、IBC:Intermediate Bulk Container)

金属製IBC、硬質プラスチック製IBC、プラスチック製内容器付複合IBC、フレキシブルIBC、ファイバ板製IBC及び木製IBC

3] 大型金属容器(450リットルを超えるもの)

ポータブルタンク、タンクコンテナ

 

2. 容器検査制度

危険物用の容器包装は、国の容器検査に合格したことを示す効力ある表示(小型容器及び中型容器の場合は、いわゆる“UNマーク”、大型金属容器の場合は表示板)があるものの使用が義務付けられている。我が国では、容器検査を行う国土交通大臣の認定機関として(財)日本船用品検定協会(HK)が指定されている。検査に合格した容器には、効力ある表示“UNマーク”が表示される。(放射性物質、高圧ガス容器については別規定)

 

 

 

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