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なお、アンケート調査では、これらの種類によっては、通信距離が短い、混信が多いなど機能に関するもの、海岸局がワッチしていない、救助機関に繋がらないなど緊急通信相手に関するもの、免許、検査、免状に制約ありとするもの、価格が高すぎるなどの種々の指摘、意見がみられる。

従って、これらの通信システム、機器について、情報化時代に対応したネットワークシステム化、機能の改善、制度の検討を図り、船舶への装備拡大を図ることが望まれる。

通信機器そのものについての具体的要望としては、通信機器の小型化、携帯可能化、防水化、安全情報の提供などが見られる。

(2) 携帯電話

国民的な携帯電話の普及は、アンケート調査(漁船で74%、プレジャーボートで86%が携行)にもみられるように、海上活動者の携帯電話の利用も増加させることとなった。この携行は携帯電話の更なる普及と相まって継続するものと思われる。

また、緊急時の使用機器として携帯電話をあげる回答が、漁船、プレジャーボートともに最も多い。これは、携帯電話が安価で手軽なため、他の通信機器と比較して利用しやすいものであることによるものと思われる。

特に、他の通信手段を有しない比較的小型の船舶にとっては、緊急時における唯一の通信機器となっているものが多い。

このような状況において、携帯電話の普及、利用実態に着目した海上保安庁では、緊急通報用として「118番」を創設し、携帯電話からの緊急通報の受付に活用し成果を上げている。

しかしながら、携帯電話は基本的に陸上で利用されることを前提としているので、海上における通話エリアに限界があること、海上では波等の影響から通話エリアの品質を保つことが困難であること等、海上におけるさまざまな状況においては必ずしも有効に利用できない場合があるため、海上活動者が携帯電話を緊急通信の目的も含めて利用する場合には、こうした携帯電話の限界について十分認識することが必要である。

このように、現行の携帯電話の海上利用については、通話エリアに限られるものの高い普及率とインターネット接続機能など高度な情報通信機器である特徴を活用するために、小型軽量化された特徴を活かして、海中転落者等の救命対策として強く望まれている防水化及び救命胴衣との一体化等の対策や、通話エリアの拡充へのニーズも根強いことから、携帯電話サービスを提供しやすくする環境の整備が期待される。

 

 

 

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