日本財団 図書館


イパーブ等の検討事項として、現在のところ次のようなものが考えられる。

(1) イパーブの小型化及び低価格化

当研究対象のイパーブについては、小型船舶の乏しいスペースへの搭載容易性、緊急時における持出し容易性、船舶所有者の経済上の問題を勘案し、これらの小型船舶にできるだけ広く搭載されるように可能な限りの小型化、軽量化そして低価格化を図るものとする。

(2) PLBの海上救難用としての導入

前項イパーブの小型化、低価格化には限度があるところから、比較的小型の船舶では同機器を装備しないものが相当数生じると思われる。

また、海へ投げ出される突発的な船舶海難や海中転落事故は、沿岸海域での発生が多いが沖合い海域での発生も少なくない状況にあり、沖合い海域活動船舶にも有用な身体に携行できる極小型の機器の必要性は高い。

このため、これらの個人救難用として現行PLBの海上での使用を可能にする措置について検討、研究を行う。

 

4.3 他の通信システムの調査研究

 

非GMDSS船舶には、船舶の種類・大小、乗船者の多寡、航行・操業海域の遠近など、まさに様々な船舶がある。

通信機器についても法に基づき搭載しているものや自発的に搭載しているものがある一方、比較的小型の漁船やプレジャーボートなどでは全く通信手段を有しないものも多数みられる。

漁船については広い海域にわたり、時には気象・海象の厳しいなか、また高齢化、一人乗り漁船の増加等の厳しい労働環境なかでの危険な操業活動が展開され、一方プレジャーボート等については所有者の増加(なかには安全意識に乏しく、運航技能未熟者を含む)、行動範囲の広域化が予想され、これら船舶の海難多発は避けられない状況にある。

前項のイパーブ等の開発、装備を進めるとしても、船外機付き小型船舶を含め、種々の事情によりイパーブ等の装備が適わない小型船舶も多数存在するものと思われ、また、海上における安全及び事業・生活情報の提供、メールの交換などのサービスが期待されている状況からも、我が国周辺におけるこれら船舶の活動海域をカバーする緊急通信機能を有する通信・情報体制の整備、強化の必要性は高まることはあれ、減じることはないと思われる。

このため、次の既存機器類の改善・普及が有効であり、これらについて更なる研究を進める必要がある。

(1) 漁業無線、マリンVHFなどの各種通信機器

比較的沿岸の海域では、日常的に必要とする通信(生活上、仕事上)について、趨勢として次項の携帯電話の使用が主流になると思われるが、携帯電話の通話範囲は制約されているため、携帯電話通話圏より沖合いに出て行動する船舶については、これら日常的に必要とする情報の交換、通信の確保、効率化が求められ、かつ緊急時の通信手段にも活用できることでこの種機器装備の必要は高まるものと思料される。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION