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・ 装備方法:船舶取付か救命胴衣のポケットに収納可能なものにできるか。

・ 水密性:10mが必要か、海外のPLBは1〜2m

4] 将来に向けての課題

現在の基準及び技術では、表3.4.2-4でのFからHの外形寸法が限界と考えられる。(Iは現在、もっとも小さく新たな技術的な工夫がされている)

前述の通り、現在のCOSPAS-SARSATの要件では小型化、低価格化に限度あることから、性能基準である周波数安定度の一部緩和することが検討されている。

この緩和により、消費電力が少ない発振器の使用が可能となり、小形電池が採用できて、更なる小型化が可能となるとともに、安価な発振器が使用できる。

しかし、問題は位置精度・確率が悪化することである。これに関してCOSPAS-SARSATから、現時点では"位置精度・確率の悪化が明白な周波数安定度の緩和は認められない"ことが公式に表明されている。周波数安定度の一部緩和は小型化、低価格化に対して大変有効であるので、我が国としてもCOSPAS-SARSATに提案していきたい。

 

3.4.3 その他の機器類の検討

小型船舶おいて一般通信や緊急・遭難時の連絡に利用できる設備の検討を行うために、今回「日本沿岸海域を航行する船舶で使用できる通信システム」の調査を行ったが、併せてそれ以外に海上で使用されている通信設備や、陸上通信設備の調査を行った。

これは、携帯電話のようにある程度の海域まで陸上と同様に利用できる設備や、MCAのように海上での業務通信に利用している設備があるため、これらを含めできるだけ多くの設備について小型船舶への利用の可能性や、一部の変更での利用を検討するために調査を行ったものである。

一方、3.3項のアンケート調査でも多くの船舶が携帯電話を利用しており、携帯電話の通話可能エリアでは一般通信、緊急通信に役立つ設備であるとされているが、通話可能エリアについての保障がないことや、海岸線から遠く離れる船舶に対しては利用出来ない等の問題がある。

海上活動者のニーズに応えるべく、通信の高度化を図るためディジタル化による電子メール、インターネット等のサービスを可能にするなど、現有の様々な機器を含め今後検討を行う必要がある。

さらに、付加機能として陸船間のみでなく船舶間の通信機能や遭難時通信や、船舶の情報の伝送の可能性の検討も合わせて行うため、従来のような単独の設備、システムでなく、必要により船舶や海上構造物を利用した中継システムや、陸上ネットワークでサポートをする等、海上、陸上の枠を越えたネットワークの構想も検討課題である。

 

 

 

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