気圧計の点検
風や天気の指標となる気圧は、気象の実況解析において重要な気象要素であり、台風や低気圧の接近を知り航海の安全を図るためにも、正確な気圧の値を観測・報告することが求められます。
船舶に備え付けられている気圧計は、陸上と異なり振動や動揺の激しい環境に置かれているので半年ごとに比較点検をすることが望まれます。このために先に述べた港湾気象サービスがあり、港湾気象官(または担当官)が、比較点検用の基準気圧計を持って港に停泊している船舶を訪問し、気圧計の点検等を行います。訪船点検を受けた気圧計には点検票が貼付(てんぷ)され、気圧計の器差補正値と海面更正値を合計した全補正値(Total Correction)、点検年月日および点検場所等が記入されます。
神戸海洋気象台では昭和四十七年(一九七二)四月に港湾気象官が配置されて以来、平成十一年(一九九九)十二月までに、のべ三、二七四隻の船舶を訪問し、四、二六四個の気圧計の点検を行ってきました。
ファックスによる気圧計の点検
港湾気象官による点検が困難な港に入港する船舶からの気圧計の点検依頼に応えるため、平成九年(一九九七)一月より、横浜、名古屋、神戸、長崎、舞鶴、函館の各気象台では電話ファックスによる気圧計の点検も行っています。
ファックスによる気圧計点検の手順は次のとおりです。
1] 「ファックスによる気圧計点検依頼用紙」に正時の気圧計読みとり値、入港地、船のファックス番号等の必要事項を記入します。依頼用紙は、最寄りのファックス点検実施官署(前述の六カ所の気象官署)に電話等で連絡して入手されるか(表参照)、気象庁が発行している広報誌「船と海上気象(四四巻二号)」等に掲載されているものをコピーしてご利用下さい。
なお、気圧を読みとる時は次の点に注意して下さい。
・船舶が停泊していること
・正確な気圧の読みとりに支障のあるような強風でないこと
・外気と同圧になるように窓・扉を開けること
・気圧が急に変化していないこと。
2] 点検依頼用紙を最寄りのファックス点検実施官署にファックスで送信します。
3] 点検依頼用紙を受けた官署では、その船舶に最も近い気象官署の当該時刻の気圧を調べ気圧計の補正値を算出しファックスにより船舶に返信します。
このファックスによる点検は、港湾気象官等が訪船出来ない船舶の気圧計の点検が出来るという大きなメリットがありますが、訪船して行う点検に比べて正確さの点で劣りますので、前述の六カ所の港に入港された際には訪船による気圧計の点検を受けられるようお願いします。
なお、気圧計の点検は、港湾気象官が配置されている港であれば、世界中どこでも受けることができます(図参照)。
おわりに
気象庁では一般船舶に対して港湾気象サービスを行っていますので、今後とも本サービスをご利用いただき、海上気象観測通報への一層のご協力をよろしくお願いいたします。
港湾気象官の連絡先
日本の港湾気象官が担当している港と連絡先は次のとおりです。
神戸港(神戸港海洋気象台海上気象課)
〒651-0073 神戸市中央区脇浜海岸通1-4-3神戸防災合同庁舎
TEL 078-222-8918 FAX 078-222-8946
名古屋港(名古屋地方気象台観測課)
〒464-0039 名古屋市千種区日和町2-18
TEL 052-752-6364 FAX 052-762-1242
横浜港(横浜地方気象台技術課)
〒231-0862 横浜市中区山手町99
TEL 045-621-1991 FAX 045-622-3520
また、次の海洋気象台でも気圧計の点検などの港湾気象サービスを行っています。
函館海洋気象台海上気象課
〒041-0806 函館市美原3-4-4
TEL 0138-46-2213 FAX 0138-47-7682
長崎海洋気象台海上気象課
〒850-0931 長崎市南山手町11-51
TEL 095-811-4867 FAX 095-823-3080
舞鶴海洋気象台海上気象課
〒624-0946 舞鶴市下福井901舞鶴港湾合同庁舎
TEL 0773-76-4114 FAX 0773-76-4114