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頭一つ水面に出すための必要浮力は、体重の九%の浮力があればよい(胸の中の空気がないとして)ということが実験でわかりました。

七〇キログラムの人で六・三キログラム、肺の空気が普通二キログラム分くらいありますから、それを引いて四・三キログラム、衣類の水中重量が一・一キログラムくらいとして五・四キログラムぐらいあればどんな人でも頭一つ出して浮けるのです。

この救命安全衣に先ほどの端末を組み込むわけですが、今のところオーブコムの端末が大きすぎて組み込めないので、ポシェットにつめ込んで携帯する方法で実験したところ、水面から三〇センチメートル以上アンテナを上げると十分送信可能ということがわかりました。

陸上で受信し、遭難者の位置が表示されるソフトも開発されました。現在は研究のための補助金はありませんが、頻発する漁船海難の報道に追われるように、実用化し普及させることで失わなくてすむ生命の数を数えながら、まず携帯電話によるシステムの完成を目指して、携帯電話による洋上送受信実験を繰り返し行っています。

参加されている各メーカーさんの情熱と技術力によって一層の小型軽量化を図り、これまでの船舶主体の救助システムから人間を主体とした海難救助システムの実用品化に取り組んでいることをひとまずお知らせいたします。

 

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携帯電話を使った遭難通信

 

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受信側ホストコンピューター、受信とともに画面上に位置、時間、氏名等が表示される

 

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