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二、エンジンの最大出力の変化

昭和五十七年の改正により漁船のエンジンの馬力数は、一部漁業調整用のエンジンを除き漁船法施行規則の上でも実態出力に対応したものとなった。平成九年の改正時と一〇年前の最大出力を比較すると、総トン数二〇トン未満の漁船で一・五倍程度の伸びを示している。さらに、平成九年の改正で馬力数が、総排気量による法馬力数に変更されエンジン開発の自由度が増したことによりエンジン出力の向上は今後とも進むと考える。

 

三、漁船の船齢、機齢の問題

漁船の船齢、機齢について漁船保険の引受データを使って考える。

<船齢>

図1に平成六年度から平成九年度までの船齢の推移を示す。この図から各年度のピークは一六、〇〇〇隻から一四、〇〇〇隻の間で推移し、ピークの船齢は平成六年度で、船齢一六年(隻数一六、〇〇〇隻)となっている。船齢のピークは隻数が減少しながら高齢側に推移し、平成九年度ではピークが船齢一九年、隻数が一四、〇〇〇隻強であった。これは、昭和五十三年度前後にFRP漁船の建造が多かったことを示しており、近年では漁船の使用年数は天井知らずで伸ぴてきている。つまり、FRP漁船の使用年数は現在も伸びているし耐用年数もなかなか判断できない状況にある。

 

図1 船齢について(引受)

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<機齢>

機齢は、船齢の傾向とは違い図2でみると平成九年度の傾向のとおり機齢八年以下の台数の分布が一四、六五九台で全体の四四%を占めている。グラフの形をみてもエンジンは一〇年程度で換装している場合が多いと思われる。

<船齢と機齢の関係>

図2をみると、船齢と機齢は明らかに違う傾向を示している。船体は使用年数をどんどん伸ばし、エンジンはある程度使用すると新型に換装していることがこのグラフから読み取れる。

このことは、前述のとおりエンジンの技術革新により、より高能(高馬力)のものが搭載されているということを実証している。

 

図2 船齢・機齢別引受について(平成9年度)

017-2.gif

 

四、高速化の問題点

前述のことから、現在の漁船は古い船体に新しい高出力のエンジンがついていてかなりの高速で走行していると思われる。このことは、当然、船体が受ける波浪外力も増大していることが考えられ、船体強度に少なからず影響があると思われる。

 

 

 

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