河口湖の湖畔・湖底、西湖の湖底、精進湖の湖底には多数の湧水が知られている。本栖湖の水位が標高900mを越すと地下水となって富士宮市の方に南流する。本栖湖の放水路で水位を下げると西湖の水位が下がったことが知られている。
本栖湖の湖水は発電のため地下水路に導かれ常葉川から富士川に流出している。西湖の湖水の一部も発電のため河口湖に導かれている。
(1) 山中湖
山中湖の面積は6.8km2で富士五湖中最大である。山中湖畔と湖底には多数の湧水が知られている。山中湖の北岸の大平山(標高1,296m)から西に延びる尾根の西端(標高1,102m)で、水井戸を掘削したところ、約7,000年前の富士火山噴出物の下底が山中湖の湖底に比較し、湖底下100m以上の深さまで存在し、山中湖の湖水は大平山の尾根の下を通って忍野盆地の地下水とつながっていることが明らかとなった。
6,000〜3,000年前以後に噴出した忍野溶岩やテフラにより古忍野湖が誕生したが、その後1,200年前の鷹丸尾溶岩流の流入と地形の変化により、忍野付近の湖水の水は排水され消滅、忍野盆地となる。
山中湖の湖底には旧東海道が存在したと記録されている。この歴史上の記録は確実でないが、山中湖の形成は800年(延暦19年)の鷹丸尾溶岩流の流出とされている。
(2) 忍野の八海
忍野盆地には忍野八海と呼ばれる日糧20万m3大量の湧水がある。湧水は富士山腹の降水、山中湖の湖水により涵養されている。
1 菖蒲池
標高935m、面積281m2で、7つの湧水の集団の中で最も東側に位置し(上流側)、現在は湧水はほとんど涸渇している。
名前は菖蒲が多く育成しているのに由来する。
2 鏡池
標高935m、面積144m2で、水に濁りはあるが、無風時に周囲の景色をよく映すことに由来する。現在は、ほとんど湧水がない。
3 湧池
標高935m、面積152m2で、忍野八海の中で最大の湧水量19万m3/日を持ち、湧出口からの活発な湧出水が梅花藻をそよがす。湖底の湧出孔はケイ藻土中の2mに達する洞窟で、ここに調査で入った2人のフロッグマンの行方不明になった事故は生々しい。
4 濁池
標高935m、面積36m2で、湧水に濁りがあるためこの名が付けられた。湧水量は0.3万m3/日である。
5 銚子池
標高930m、面積79m2で、すり鉢状の底にある小さな池で、湧水量は0.2万m3/日とわずかである。