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図-5 エドマ中のメタンガス濃度分布

 

エドマ氷の起源は冬の降雪によるとした。すなわち、氷河氷の解析で適用される方法をあてはめることが可能となる。それは酸素同位体の濃度である。普通の酸素は原子量が16の16Oである。原子量18の18Oもわずかに存在する。「安定同位体」と呼ばれ、原子量14の14Cのように核崩壊による変化をしない。海から蒸発した水蒸気は、低緯度からしだいに高緯度に向かうにつれて、途中で降水や降雪を繰り返す過程で18Oは18Oよりも高い割合で失われる。残った水蒸気には、より少ない比率で18Oが残される。降雪として地上に降ってきた水には、上空で水蒸気が凝結した温度に比例して18Oと160の存在比が変わる。温度が低くなれば、それだけ18Oの存在量も少なくなる。従って、降雪中や降雪に起源がある氷河氷中の18Oと18Oの比率がわかればそれが凝結した時の温度を示すことになる。そこでエドマの酸素同位対比を計れば、堆積した時の冬季の温度が推定できる。

 

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図-6 氷楔の酸素同位体濃度と冬季気温の関係

 

 

 

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