海氷が形成される地域であるため、海底面の温度は-1.8℃と低温であり、短期的には融解しにくいためである。こうした永久凍土の分布も、最終氷期には現在とは異なった分布であった。北米には、現在の南極氷床に等しいローレンタイド氷床が発達し、またヨーロッパから西シベリアにはやはりフェニスカンジナビア氷床が発達していた。厚さが2000mを超える氷床下では、地盤は凍結せず、従って永久凍土は形成発達しなかった。またあまりの寒冷さ故に、植生が地表を覆うことがなく、極地砂漠となっていた地域もあった。
北極と比べて、南極氷床は氷期―後氷期での変動でも、その規模はあまり変化しなかった。こうした南北両極での、氷河・氷床と永久凍土の分布変動を表-1にまとめる。現在は、北極では永久凍土が大半を占めるが、過去には東シベリアを除いて、北極でも、氷河・氷床が全体を覆っていたことが分かる。