プレカンブリア代末〜カンブリア紀初期の動物群
プレカンブリア代末のエディアカラ化石生物群は、1946年アデレードの北600kmにあるエディアカラの丘で発見したことにちなんで命名された。原始的な多細胞動物の化石とする説と多細胞動物とは無関係なVendobiontという生物の一群であるとする説とがあり、決着していない。
今から5億4千5百万年前、カンブリア紀の始まりとともに、多細胞動物が一斉に硬骨格を獲得し始め、その体制が一挙に多様化するという特筆すべき出来事が起こった。その急激さを象徴して、この出来事はカンブリアの大爆発(Cambrian explosion)と呼ばれている。カンブリア紀に入るとすぐに珪酸、炭酸カルシウム、燐酸塩などからできた刺や骨片などの微細な化石(Small Shelly Fossils = SSF)がたくさん見つかるようになる。少し後のカンブリア紀の中頃(5億2千500万年前)にはカナダのバージェス頁岩をはじめとする世界各地から、エラの繊維の一本一本まで軟組織の構造が細かいところまでみごとに保存された多様な化石動物群(バージェス動物群)が発見されている。バージェス動物群の特徴は、門のレベル、あるいは門より低次の分類レベルでも、現在の動物には知られていない体制をもった生き物が多数存在することである。多細胞生物の進化の最初の時期である古生代の初めに現在の32より多くの動物門が存在した可能性が極めて高い。
最初に上陸した生き物は何
植物は、動物に先駆けて上陸した。コケ類、シダ類、裸子植物、被子植物など、現在陸に住む高等植物は、全て車軸藻とよばれる緑藻の仲間から進化してきたと考えられている。オルドビス紀の終わり頃には胞子の化石が、また、シルル紀にはクチクラの断片や、水分や養分を運ぶ通路となった組織の断片の化石が見つかるので、当時すでに植物が陸上へ進出し始めていたことがわかる。デボン紀になると、体のほぼ全体が保存された陸上植物化石が見つかる。シルル紀の地層からは、肉食性の節足動であるクモやムカデの仲間の化石が発見されている。すでに、脊椎動物が上陸する前に陸上では肉食動物を養うことのできるほど豊かな生態ピラミッドができあがりつつあったことを示している。
脊椎動物の進化と上陸
カンブリアの大爆発で生まれた様々な動物達の中に、私たち人類を含む陸上の脊椎動物にむかう進化への「最初の一歩を踏み出した」生き物がいた。それは、ピカイアで、脊索動物に属する。最も古い脊椎動物であるアゴの無い魚が進化したのはオルドビス紀のことである。シルル紀の終わりからデボン紀のはじめにかけてアゴをもつ様々な魚が一斉に出現した。脊椎動物のアゴは、鯉を支える鯉弓と呼ばれる骨格が変化したものですが、これによって大きな動物を捕食することを含めて様々な食料源を利用することが可能となった。さらにデボン紀のはじめには、硬骨魚類が出現した。この硬骨魚類のなかに、ヒレの付け根が肉質なために肉鰭類と呼ばれている一群がいた。肉鰭類は、肺魚、総鰭類、そしてシーラカンスの3つの仲間にわけることができる。陸上を征服する脊椎動物は、水中ではあまり繁栄しなかった肉鰭類の仲間から出現した。