肉鰭類は、内鼻孔を持ち、鼻と口とが鼻腔によってつながれていた。これは、もともと臭覚を高めるための発達したのかもしれないが、やがて空気を呼吸するのにも役だった。
さらに、肉鰭類の一つの肺魚には肺がある。泥で濁った、酸素の欠乏した水中環境では、水面上に頭を出して空気から酸素を取り入れることは、エラによる呼吸の補助として有効であり、また、乾期に水が干上がるような場所でも肺呼吸ができれば、肺をもつことは、魚類の段階でも十分適応的な意味がある。
総鰭類のユーステノプテロン
総鰭類の中にはデボン紀から古生代の終わりに主に淡水に住んだ扇鰭類が含まれる。そのなかにユーステノプテロンという魚がデボン紀後期に現れた。この魚は体長は60センチ程度の大きさでしっかりした背骨をもち、また鰭の中には関節でつながったいくつかの骨がある。鯉の根元に一番近いところには一本の骨が、それに続いて2本の骨が、そしてさらにその先にはたくさんの骨が鰭の先端へ向かって放射状にならんでいる。この様子は、まさに我々を含む陸上の脊椎動物の腕や足の骨格の配列と同じである。またエナメル質が複雑に入り組んだ構造の歯をもっているが、これは原始的な両生類の歯と同じ構造ですある。
最初の両生類イクチオステガ
イクチオステガは、グリーンランドのデボン紀の終わりの地層から発見された化石です。体長は約90cmほどある。1928年最初に頭の部分が発見されたとき、魚と思われたほどで、頭の部分はユーステノプテロンなどの総鰭類の魚と似ている。やがて1948年に脚の部分が見つかり両生類と判明しました。頭のほかにも、尾や魚のような尾が残っていた反面、よく発達した前肢や後肢が肩月甲骨や骨盤をはじめとする骨によってしっかりと背骨につながれていて、歩くのに都合のよい構造になっているなど両生類としての特徴も兼ね備えていた。
陸上での生活への適応
陸上では、肺をつかって呼吸をする必要がある。しかし、肺は、水が濁った場所や乾燥した季節に空気を呼吸するために肺魚をはじめとする魚が遅くともデボン紀の中期に発生していた。また、呼吸に欠かせない鼻道も、総鰭類の魚類で、形成されていた。乾燥からの保護も重要な課題だが、初期の両生類の中は、魚類型の先祖の体表を覆っていた鱗を持ち続けているものがあり、これによって乾燥を防いでいたと考えられている。ただし、初期の両生類も、現在の両生類と同様水中で卵を産んで繁殖していたと考えられ、その意味では完全には水から独立しているわけではない。
何が脊椎動物の上陸のきっかけだったか
有名な古脊椎動物学者であるローマーは、河や湖が干上がったとき乾燥を避けて生き延びるために、ほとんど四肢というまでに発達した前後のヒレを使って別の河や水たまりへ移動することが上陸の始まりだったと考えている。