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コメットのように、多くの氷を含んでいるものほどではないが、Cタイプ小天体の内部には水があっても不思議ではないが、現在でも生き残っている天体で、氷と塵で出来ている天体はないだろうか?実は、木星の衛星カリストやガニメデがそれに相当する。カリストの表面には黒い物質でおおわれている氷の大陸の間を新しい白い氷が露出したような部分がある。大きな天体になれば内部に熱が蓄積されて氷の溶ける温度まで熱せられることで、水溶液による変成が起る可能性が考えられる。隕石の衝突により部分的に熱せられることもあろう。このような炭素コンドライトの物質進化の様子を氷衛星から探ることが出来る(添付資料)。この点、炭素質コンドライト母天体は最も始原的物質ではあるが、低温度水溶液による物質進化が進んでいる天体でもある。このような始原的小惑星は太陽から遠い所に多く分布している。

木星のガリレオ衛星には、チリと氷のある天体のよい例であるガニメデの氷の動きを示す画像より、かつて氷が溶けて動いた時代のあったことが解かった。アメリカの探査機NEARで、始原的隕石があるとスペクトルデータよりわかっているマチルダの映像が得られた(付属資料「フランス・オルゲイユに落下した隕石」)。これがこの種の始原的隕石の在るといわれる小惑星の実際の姿が、始めて撮影された物である。エウローパの氷の下に海のあることが最近報道されているが、添付写真の画像がその証拠とされている。地球より他の天体にも別のかたちの海がある。この海の中で粘度鉱物を造るような水質変成の起こった可能性がある。地球の海の水がどこから着たかを示す図案も作成した(付属資料「フランス・オルゲイユに落下した隕石」)。

 

5. 地球を作った物体はコンドライトそのものかどうか

隕石と小惑星の反射スペクトルを比較する最近の研究でわかったことは、小惑星帯にある多くのコンドライト的天体は、コンドライトそのものより、もっと進化した天体であるということだ。これらの小惑星は一般にS型小惑星と呼ばれ、炭素質コンドライトに関連したC型小惑星と区別される2大グループの一つである。Sはケイ酸塩(silicate)を意味するSである。

これまでの我々の研究で、このS型小惑星に対応する隕石は、原始的エコンドライトと呼ばれる、地球には希にしか落下してこない隕石であることがわかっている。つまりこれらの隕石はコンドライトが一度高温に加熱され、一部分が溶融して、鉄隕石のような物質とコンドライトが溶けて固まるときに少し変化したものが一緒にある隕石の仲間である。このモデルによると、鉄隕石のあるものは天体の内部の核としてできたものではなく、ブドウパンのブドウのように、部分的に鉄が集まったものということになる。

一般に天体の内部が高温になり、鉄が分離するようなことが起こると、溶岩のような玄武岩的な岩石ができるということになっていた。しかし、このような物質は今まで隕石の中に発見されていなかった。隕石として知られている玄武岩的物質は、ベスタという直径530kmもの大きな天体でできたものであった。

本研究で我々は、この玄武岩的物質を発見したが、実は玄武岩よりも、地球の安山岩に似た物であるということをつきとめた。これは太陽系内で、地球以外ではじめての安山岩の発見である。この物質はナトリウムや塩素を多く含み、地球の海の塩の源とも考えられるものである。本研究論文はGeochimica Cosmochimica Actaに受理されている。その論文のコピーを参考資料として添付する。(日本科学協会への謝辞あり)。

 

 

 

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