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また「性的なうわさを流された」「匿名の電話や手紙によるセクシュアル・ハラスメントを受けた」など、加害者を特定できない場合もあります。

さらに、被害者は加害者を知っているが、その名前を言いたくないような場合は、再発防止のため、被害者の同意を得て、職場のミーティングなどで注意を促すようにします。

カ 加害者個人に対する何らかの措置を望むか

加害者の謝罪を求める、あるいは監督者として加害者に注意を促す、組織として加害者を懲戒処分に処すなどが、加害者個人に対する措置を考えられます。

キ 職場のミーティングなどで注意を促す

加害者個人に対する措置を被害者が望まない場合でも、セクシュアル・ハラスメントの再発を防ぐ意味で、職場全体に向けて注意を促すなどの措置は必要でしょう。この場合にも、必ず被害者の同意を得てから行います。

ク 事実関係の調査のため関係者間で事実が公になるがそれでもいいかどうか

被害者が、加害者個人に対する措置を望んだ場合、加害者と疑われた人が本当に加害者なのか、またどのようなセクシュアル・ハラスメントの事実があったのか、調査が必要になります。

その場合、セクシュアル・ハラスメントの事実があったことを証言してくれる人を探したり、その人へのインタビューが必要になったりします。職場内での不倫のうわさを流されたなどというセクシュアル・ハラスメントの場合には、もう一方の不倫相手とされる人からも事情をヒアリングすることになるでしょう。

このように事件に関係する人や、事件を解決する専門スタッフの間では、事実が公開されることになります。それでもよいかどうか、必ず被害者の意思を確認します。

監督者が調査に当たる場合、加害者、被害者ともに自分のあずかる職場内のメンバーであり、被害がまだ比較的初期の段階にあれば、監督者自らが調査に当たってもよいのですが、被害者に苦情申し立ての意識が強い場合には、問題を複雑にしないためにも、組織内の専門機関(相談・苦情窓口)に相談することが好ましいでしょう。

 

 

 

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