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ケース3:セクハラだと疑われたケース

-某コンピューター関連のメーカー-

1 会社の体制

この会社では、セクシュアル・ハラスメント防止対策の必要性は認識されていましたが、実際にはまだ手が付いていない状態でした。とにかく、何らかの体制を整える必要があるとして、とりあえず、労働省のパンフレットが監督者に回覧され、人事部内でどのような対策が必要かを議論していた矢先、この事件が起こりました。

 

2 ケースの概要と会社の対応

システムエンジニアを担当しているYさん(男性)は、入社26年目の課長です。ある日、クライアント先から戻ると、部長のIさんから応接室に来るように言われました。

そこに行ってみると、I部長の他に同じく隣の課のU課長(女性)もいて、二人は隣り合わせに座っていました。I部長から二人の前に座るように言われ、Yさんが座ると、I部長が「大変にいいにくい話なんだが…」と話を始めました。その内容は、U課長の部下で協力会社から出向という形で働いているK子さん(女性)が、Yさんからセクハラを受けたと、上司であるU課長に苦情を申し立ててきた。今後はこのようなことがないように、注意するように、というものでした。

YさんはK子さんにセクハラに当たるような行為をした覚えはありません。「どういうことですか?」と質問すると、1週間ほど前、部内の納涼バーベキュー大会があって、そのときにバーベキューの食材を焼いていたK子さんが、Yさんからお尻を触られた、というのだそうです。

そういえば、Yさんにも心当たりがあります。Yさんの隣で鉄板を覗き込んでいたところ、Yさんから「触ったでしょ」と強い口調で言われました。しかし自分には全く身に覚えがありません。そのときは、K子さんの周りにも鉄板を囲むようにして何人かの人がいましたので、何かの勘違いだと思って、特にその言葉には何も反応せずその場は収まってしまいました。

 

 

 

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