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M子さんにその気がないのなら、はっきり断ったほうがいいよ。それにわざわざ人事に言うことでもないだろう。私とT課長の関係もあるし、まあ大人として穏便にやってくれよ。お願いだから」と言われました。M子さんはそんなT課長の言葉に結局、この人は分かってくれないと思い、怒りが込み上げました。そして涙ぐみながら「自分でどうにもできないから相談したんです。私は子どもでもいいんです」と言いました。するとK課長は「じゃあ、あなたはどうしたいわけ?」と開き直ったように言いました。そしてM子さんは次の言葉が告げられずに黙りました。そして、ただ泣き寝入りするしかないのかと感じました。

それから数日して、セクハラ窓口担当の人事部のH相談員が出張から戻り、M子さんに電話で連絡が入りました。「M子さんからセクハラ被害のご相談があったとの報告がありました。その後、この件はどうなりましたか?」というものです。

そして、M子さんはH相談員の勧めに従って、H相談員に会って話しをすることにしました。M子さんは今までのいきさつをH相談員に話しました。H相談員は親身になってこの話を聴いてくれ、「辛い思いをされましたね。会社も初めてのケースで、私が留守の間に対応の仕方を間違え、さらにあなたを傷つけてしまいました。もう一度、最初からこの問題について一緒に考えましょう」と言いました。このときM子さんはこの人なら私のことを分かってくれると思い、思わず涙ぐみました。

H相談員との話し合いの中で結局、H相談員がT課長に事実を確認した上で、T課長から謝罪文を求めるという要望がM子さんから出されました。

その後、H相談員が直接T課長から話を聴くよりも、H相談員の上司であるA課長が聴いた方がいいという判断のもと、A課長がT課長を呼んで、事実関係を確かめたところ、T課長は、M子さんの訴えた内容をほぼ認めて、彼女に申し訳ないことをしたと謝りました。A課長は、すぐにMさんに謝罪文を書くようにと命じています。

 

 

 

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