・他にはどのような方法が考えられるか
失敗例の場合
・失敗に至った原因は何か
・自分だったらどのように対処するか
ケース1:残業時に痴漢行為を受けたケース
-某メーカーのスタッフ部門-
1. 会社の体制
この会社では、男女雇用機会均等法が改正されたのと同時に、労働大臣より発せられた「雇用管理上配慮すべき事項」の指針に基づいて、セクシュアルハラスメント防止対策を講じました。
その内容は、社内向けのアナウンスとして、均等法改正時に社内報に一回、掲載されました。また、研修では監督者向けの階層別研修の中で、労働省のパンフレットをもとに、人事部員が15分程度、セクシュアルハラスメントに触れただけで、階層別研修に該当しない監督者については、まだ何の研修も実施されていません。
さらには、相談窓口は人事部内に設置しましたが、「担当はHさんです」としただけで、相談専用の電話も設置されていません。担当がHさんとなったのは、人事部内の女性で唯一の役職者(係長)がHさんだったからです。
そんな中、あるセクシュアルハラスメント事件が社内で発生しました。
2. ケースの概要と会社の対応
営業第一部で営業アシスタントを担当しているM子さん(28歳)は、入社8年目です。彼女はある日、「残業中に痴漢行為を受けた」と、人事に訴えました。
痴漢行為の内容は次のとおりです。
その日、M子さんは、日中、取引先からのクレーム処理に追われて、終業時刻になっても仕事が片付かず、残業をすることにしました。