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インストラクターが研修会で取り上げようと準備した事柄の中に、性に対して直接的な言い回し(例えばセックスなど)をするような表現がないとしても、研修生からそのような言葉が発せられるということは十分に考えられます。

そのような時、インストラクターがいちいち顔を恥ずかしそうに赤くしたり、不快な表情をして、言葉につまっていたのでは、研修会を円滑に進めることは難しくなります。また場合によっては、直接的な表現を求められるようなこともあります。

よって、インストラクター自身、性に対するタブーからできるだけ開放されていることが求められます。もちろん、開放されていることと、直接的な性に対する表現をすることは別です。これらの言葉を口にする必要があるか否かは、それぞれの場合によりますが、表情を変えずにたんたんとこれらを口にすることができることは必要となります。

 

(4) 効果的な手法

セクシュアル・ハラスメントに対する正しい理解と、しない、させないための意識を醸成するためには、一方的にインストラクターから知識を吸収するような座学形式だけでは、多くの効果を期待することは難しいといえるでしょう。

米国ではしばしば、セクシュアル・ハラスメントに関するセミナーに「アウェアネス・トレーニング」といった副題が付けられています。つまり、研修生自らがセクシュアル・ハラスメントについて気づくための機会として、研修の場が提供されています。

研修生自らが気づくためには、彼らが研修の中で、能動的な行動をとることが必要になります。そしてそれによって得られた自身の体験から、気付きは導かれます。つまりワークショップのような、参加型の研修スタイルに多くの効果が期待できるといえるでしょう。

 

 

 

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