つまり、男性の役割は外での仕事で、女性は家庭の中での家事や育児、といった固定的な価値観を持っていると、職場の中で、女性に対して「女性の幸せは結婚である」や、「まだ子どもを産まないのか」などといったセクシュアル・ハラスメントに発展する危険性のある発言をするに至ります。
さらには、女性のみに職場でのお茶汲みや宴会の席でのお酌を強要するといった、きわめてセクシュアル・ハラスメントに発展しやすい事態を発生させる危険性もあります。
また、職場の中で男性は基幹的な仕事で、女性は補助的な…というように、セクシュアル・ハラスメントだけでなく女性の能力発揮の機会を奪うようなことも考えられるでしょう。
よって、インストラクターはセクシュアル・ハラスメントの原因の一つであるジェンダーに対しての正しい理解が必要となります。
ジェンダーに加え、生物学的な性差であるセクシュアリティーに対する知識もインストラクターには求められます。
例えば、性に対して男性は攻撃的だが、女性は受動的というような考え方が一部にありますが、これは本当なのだろうか。また男性の性に対する欲求は本当に抑えられないのだろうかなどという事柄について、正しい知識がないと、体に触ったり、猥褻な事柄を話題にしたりという、セクシュアリティーに対する偏見を原因とするセクシュアル・ハラスメントについて十分な理解をするのは困難でしょう。
加えて、最近の米国ではセクシュアル・ハラスメントの中に、同性愛者やエイズ患者に対するものもみられます。もちろん、今の日本でもそれらが全くないとは言えません。