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また研修終了後にプライバシーにかかわる事柄が記録されていたことが判明した場合には、すぐにその部分を消去する旨も伝えることが大切です。

4] 性の暴力の被害者を守る

研修生の中には、過去に性の暴力の被害にあったことのある人がいるかもしれません。性の暴力の被害者は、日常的には被害にあったことのない人と何ら見分けはつきませんが、何かをきっかけに心理的に耐えられなくなりパニック状態に陥ることがあります。また、周囲の何気ない発言にさらに心の傷を深くすることもあります。

このような状況があるかもしれないということを考えた場合、研修生に「あなたの隣にいる人は性の暴力の被害者かもしれない」ということを念頭に発言をするように注意を促すことが重要になってきます。

また性の暴力の被害者は、数字的には女性が圧倒的に多くなりますが、男性が被害に遭っているケースもありますので、研修生が男性のみの場合も注意を促す必要があります。

しかし、このように細心の注意を払って研修を進めても、性の暴力の被害者を守り切れないことがあります。その場合を考えて、研修生には「この場から避難する自由」を与えておく必要があります。つまり研修生自身が自分でこれ以上この場にいたら、耐え切れないと判断した場合には、自分の身を自分で守るために、この会場を離れてもらうということです。

さらには、研修生に発言を強要することも避ける必要があるでしょう。過去の体験などから「この問題には触れたくない」という研修生の感情を尊重するということです。よって研修を始める前に、「答えたくありません」という気持ちを尊重して研修を進めることを約束する必要があります。

 

 

 

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