(1) 「対価型セクシュアル・ハラスメント」
職場において行われる女性労働者の意に反する性的な言動に対する女性労働者の対応により、当該女性労働者が解雇、降格、減給等の不利益を受けることです。
例えば、事務所内において事業主が女性労働者に対して性的な関係を要求したが、拒否したため、当該女性労働者が解雇されたようなケースや、出張中の車中において上司が女性労働者の腰や胸に触ったため抵抗したところ、当該女性労働者について不利益な配置転換がなされたようなケース。
(2) 「環境型セクシュアル・ハラスメント」
職場において行われる女性労働者の意に反する性的な言動により女性労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該女性労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることです。
例えば、事務所内において事業主が女性労働者の腰や胸等に度々触ったため、当該女性労働者が苦痛に感じてその就業意欲が低下しているようなケースや、女性労働者が抗議しているにも拘わらず、事務所内にヌードポスターを掲示しているため、当該女性労働者が苦痛に感じて業務に専念できないようなケース。
このうち、「対価型セクシュアル・ハラスメント」に関しては、国家公務員法第27条(平等取扱の原則)、同法第33条(成績主義の原則[任用は成績・能力の実証に基づく])、同法第39条(人事に関する不法行為の禁止)の規定が存在し、一方、「環境型セクシュアル・ハラスメント」に関しては、同法第71条(能率の根本基準[職員の能率の発揮・増進が図られなければならない])の規定が既に存在しています。つまり、改正均等法第21条において規定する内容が既に国家公務員法においてカバーされていることから、国家公務員については改正均等法第21条の適用を除外することとなったものです。